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新聞とネットは補完関係 両者の組み合わせで広告効果増大か 新聞協会が調査発表

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日本新聞協会広告委員会は3月22日、「多メディア時代における新聞の役割とメディア接触者の動向調査」の結果を発表した。

当調査は、日本新聞協会広告委員会がメディア環境や生活様式の変化を踏まえて、2017年から行ってきた「新聞オーディエンス調査」を刷新し、新たに実施したもの。全国の15歳以上79歳以下の男女1200人を対象に、訪問留め置き法で各メディアの接触状況、印象・評価、広告メディアの印象・評価などを調べている。調査では、電子版やニュースサイト、SNSなどインターネット経由で見聞きされる新聞の情報を含め「新聞」として集計。テレビ、雑誌、ラジオについても同様としている。

同委員会によると、生活者のメディアへの接触状況、意識の変化などを調査した結果、新聞とインターネットは補完し合う特長を持ち、両者を組み合わせて使うことで広告効果の増大が期待できることがわかったという。

調査結果から分析された、主なポイントは以下のとおり。

  • ・新聞や新聞広告は信頼性の高さが評価されている。そのため、信頼性の高い媒体を通じて情報を発信することで、メッセージの信頼性や理解が増す。
  • ・新聞広告が発信する情報は、SNSで拡散され話題になることがある。若年層や新聞読者に限らない広範なターゲットにメッセージが届けられる。
  • ・新聞・ネット利用者は社会貢献への意識が高く、未来志向の考えを持っており、企業のパーパスの訴求に適している。
  • ・新聞・ネット利用者は、新聞や新聞広告に掲載された情報をネットで調べる傾向がある。新聞広告が興味・関心を高め、情報収集のきっかけとなっている。
  • ・新聞に週1日以上接触している人の購買プロセスにおいて、新聞広告は「認知」「興味・関心」、「比較・検討」というミッドファネルにおいても重要な役割を果たしている。

上記のポイントに紐づくそれぞれの詳細な分析結果について、日本新聞協会広告委員会は以下のように考察している。

■補完し合う新聞とネット

補完関係にある新聞とインターネット

新聞とインターネットにおいて、メディアの印象・評価で重視する項目や実際の評価の関係をみると、生活者がメディアに対し最も重視する「情報が正確で信頼性が高い」や「中立・公正である」「情報が整理されている」「安心できる」といった項目で、新聞はネットより高く評価されていることがわかった。

これに対し、ネットは「日常生活に役立つ」「自分の視野を広げてくれる」「親しみやすい」といった項目で新聞よりスコアが高く、新聞とインターネットはそれぞれの特長を補完し合う関係にあることがうかがえる。

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ネット利用者にもリーチする新聞広告

SNSで新聞広告に関する投稿の閲覧経験がある「ネット利用者」は45.8%で、「リポスト(リツイート)」「いいね」などの反応やシェアをしたことがある、または投稿をしたことがある人は27.5%に上った。調査回答者のうち、SNSをより利用していると思われる15~39歳は他の年代よりも新聞広告に関するSNS上の投稿に「反応やシェア」をしたり、実際に投稿したりする傾向があることが判明。ここから、新聞広告は日常的に新聞に接触しない生活者や若年層にも、SNSを通じてリーチできる可能性があることがうかがえる。

ネット情報の信頼性向上に役立つ新聞広告

新聞接触者(週1日以上)がインターネットで記事や広告を見た後、紙の新聞広告で同じ情報に触れたとき「理解が増す」と答えた人は39.1%。「信頼性が増す」は31.5%だった。

これに対し、テレビ接触者(週1日以上)がネットで記事や広告を見た後にテレビCMを見て「理解が増す」「信頼性が増す」と答えた割合は新聞を下回り、雑誌、ラジオについても同様の傾向が見られた。新聞とネットを組み合わせることで、それぞれの媒体特性を生かし、広告の訴求力を高めることが期待できるとした。

■新聞・ネット利用者の特徴

社会貢献への感度が高い

新聞・ネット利用者は「選挙では必ず投票する」(80.1%)、「社会貢献に積極的な企業の姿勢は、商品やサービスを選ぶ際の選択理由になる」(41.5%)、「企業の環境対策やSDGs・サステナビリティー(持続可能性)への取り組みに関心がある」(40.2%)などの項目が全体よりも特に高い傾向が見られ、ネット利用者のスコアより10ポイント以上高いことがわかった。「社会奉仕、ボランティア活動をしている」「次世代が生きる社会についても配慮したい」「防災対策をしている」といった項目でも、ネット利用者より10ポイント以上高い結果に。

この結果から、新聞・ネット利用者は社会貢献への感度が高く、将来を見据えて行動する傾向も見られることから、企業のパーパス(社会的な存在意義)を伝えるターゲットとして適していると考えられる。

情報の質を重視

新聞・ネット利用者は、メディアの印象・評価として「情報が正確で信頼性が高い」(71.2%)、「中立・公正である」(53.8%)など情報の質を重視する傾向があるとわかった。しかし、「情報が正確で信頼性が高い」「中立・公正である」「安心できる」(53.5%)、「世の中の動きを幅広く捉えている」(37.0%)、「知的である」(32.3%)の各項目に関しては、新聞利用者がネット利用者より特に高いスコアとなった。

商品やサービス、公共的な情報への関心が高い

関心のある広告ジャンルを複数回答で尋ねると、新聞・ネット利用者は「新商品・サービスの発表」が76.5%、「商品・サービスのキャンペーン」が58.8%にのぼり、いずれもネット利用者より高いスコアになった。

この結果から、新聞広告とネットを組み合わせて新商品・サービスの告知やキャンペーンを展開すれば、ターゲット層の関心を集め、購買意欲を高める可能性があることがうかがえる。また、新聞・ネット利用者は「政府・自治体広報」「地域活性化に向けた取り組み」のスコアがネット利用者より10ポイント以上高く、公共的な情報への関心が高いとも見て取れる。

新聞をきっかけにネットで能動的に情報収集

紙の新聞や新聞広告を見てネットで調べることがある人は全体の24.3%。これに対し、新聞・ネット利用者の50.9%は紙の新聞や新聞広告を見てネットで調べることがあると回答し、新聞や新聞広告を情報収集のきっかけにしていることがうかがえる。

認知を促し、購入・利用を後押しする

新聞に週1日以上接触している人の購買プロセスにおいて、「知るきっかけになる(認知)」と回答したのは35.5%、次いで「興味を持つきっかけになることがある(興味・関心)」が26.6%。そして、「商品・サービスの内容を理解するのに役立つことがある(比較・検討)」18.6%、「実物を確認したくなることがある(比較・検討)」14.4%と続いた。「認知」だけでなく、興味を持つきっかけとなったり、欲しい気持ちが高まる「興味・関心」、商品等の内容理解や実物を確認したくなるといった「比較・検討」というミッドファネルにおいても重要な役割を果たしているとわかった。

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図 購買ファネルでみた新聞広告の役割