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西松屋はなぜ「商品PRは一切ナシ」のオウンドメディアに力を入れるのか

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自前の情報発信拠点として多くの企業・団体が注目するオウンドメディア。戦略の立て方や効果測定の方法、制作のコツを探ります。今回は西松屋のオウンドメディア「MIMI STAGE」の制作の裏側に迫りました。
※本記事は、広報会議2024年4月号の転載記事です。

DATA

URL:https://www.24028.jp/mimistage/
開設:2018年4月
コンセプト:「すべてのご家庭に、お子さまとの豊かな暮らしを」
所管部門(うち人数):販促・ブランド戦略部(2名)
制作体制:記事の制作・更新については外注
更新頻度:最大10本(月)
総記事数:約320本
PV数:約45万PV/月
CMS:WordPress
効果測定:外部からの流入割合、読了率など

ベビー・子どものくらし用品の専門店を全国に展開する西松屋チェーンは、2018年4月から子育て情報メディア「MIMI STAGE」を運営。「お子さまをお持ちの家庭の暮らしを楽しく豊かに」と理念を掲げ、ベビー・子ども・マタニティ用品を豊富な品揃えと手頃な価格で提供している同社は、同メディアを通じた有益な情報の提供により、子育て世帯に寄り添うことを目指す。

「お子さまのご成長につれ、お客様は常に入れ替わります。そのため、新しいお客様に来ていただくきっかけのひとつになればと思い、開設しました」と販促・ブランド戦略部の西野正彦氏。

背景にあるのは、2017年7月にHPやメディアの管轄だった販売促進部を販促・ブランド戦略部と名称変更したこと。同社のブランド力を高め、ファンを醸成することが狙いだ。

図

商品PRゼロで寄り添いに徹底

既存の顧客の多くがアクセスするのは、商品のセール情報だ。しかし、同メディアでは取扱商品の紹介など直接的な販促は一切行っていない。潜在顧客層にアプローチするためには、子育て世帯に寄り添うことが重要と考え、子育て世帯に役に立つ情報を提供するという姿勢を徹底しているのだ。

「子育てに悩んでたどり着いた先で、最終的に『うちの商品を買ってね』と営業がはじまると興ざめしますよね。本当の意味で寄り添うことができなくなると思うんです」と西野氏。

記事の中にはベビー用品に関するものもあるが、その場合にも「ベビーカーを選ぶときには、こんなところに注目するとよいですよ」といった選び方を伝えるにとどめ、具体的な商品名を挙げることはない。

6年近く続く同メディアは、社内のトップ層からの理解も深く、商品のPR情報が含まれない同メディアの運営については、ほぼ部門に任されているという。

「商品やセール情報とは別の、読者にとって有益な情報を提供することで、子育てそのものに寄り添う」という認識が浸透しているからこそだという。

潜在層へのアプローチも

同メディアのターゲットは妊娠中から小学校入学前後の子どもがいる家庭だ。同メディアのもうひとつの目的に、早い段階での来店のきっかけをつくることがある。

子どもが生まれる前の人たちにも出産準備に利用してもらうことを目指し、メディアには妊娠中の基礎知識や不安や疑問に答える記事も豊富に掲載。「妊娠や子育ての悩みに西松屋が答えてくれた」という体験によって潜在層へのアプローチを狙う。

100本→37本に統合

同メディアは2023年の冬にプチリニューアルを図った。カテゴリー名をより具体的に分かりやすく変更し、階層も2段から3段に。同メディア内のキーワード検索機能も追加するなど、訪問者が目的の記事にアクセスしやすいよう導線を整理した。

また、似た内容やカテゴリーの記事を統合・編集し、既存の記事のうち100本を37本にしたという。

「記事数が減ることで、全体でのPV数が減る可能性もありますがより使いやすいメディアにすることがお客様に寄り添うことだと思い、ユーザビリティを優先しました」(同 福元彩氏)。

更新は月に最大で10本。すべてが新規記事ではなく、既存記事を見直し新しい情報に更新することも多いという。未加熱のナチュラルチーズは妊娠中には食べない方がいいことなど、近年浸透してきた新常識なども含めている。

SNSや冊子への展開も

同社のInstagramアカウントで、季節に合った同メディアの記事を短くまとめて投稿するなど、外部からの流入経路も整備している。商品の紹介投稿よりもインプレッションが伸びることもあり、反応は上々だという。

今後は、自社アプリ会員向けのプレママ特典に同封している冊子「はじめての出産準備おまかせ本」に同メディアの記事を掲載するなどの横展開も予定している。

 

広報会議の連載「オウンドメディアの現場から」では、このほかにも様々な業種・業態の企業のオウンドメディアの制作の裏側を紐といています。

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