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世界観を伝える要は従業員による「熱狂的なエピソード」の積み重ね、BtoB企業のリブランディング

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企業の価値を社会に広く伝えることがBtoB企業にも求められるようになってきた近年。BtoCよりも認知を得にくい中で、どのようなコミュニケーションを図っていくべきか。従業員を巻き込んで推進したリブランディング事例に迫った。

広報会議2024年4月号 特集「企業ブランディング 求心力を生む新たな取り組み」の転載記事です。

DATA

企業名:PRONI
設立年:2012年10月
従業員数:232名(うち、正社員は120名、2023年9月1日時点)
リブランディングプロジェクトの体制:代表取締役が推進し、デザイン室長、プロダクト開発部長、CEO室を中心に連携。


ビジョンに「受発注を変革するインフラを創る」と掲げる、PRONI。2023年9月に社名を変更し、リブランディングを行った。BtoBの受発注プラットフォームのサービス名称やサイト、コーポレートロゴを変え、コーポレート・タグラインも策定。創業・資金調達に次ぐ「第三創業期」としてスタートを切った。

肩入れしたいストーリー

リブランディングの背景について取締役の中村哲朗氏は「企業が受発注を検討する際、当社のサービスが第一想起される状態を目指すため」と明かす。「リブランディングは、ビジョン実現に近づく、マーケティング戦略の土台づくりです。社名とサービス名の統一といった見せ方だけでなく、上場まであと数年と見越した今『ユニラボ(旧社名)、アイミツ(旧サービス名)とは何者なのか?』を改めて言語化し社内外に伝える必要があると考えました」。

主力サービスの「PRONIアイミツ(旧アイミツ)」は、IT制作やSaaS、広告販促など約100カテゴリの企業・提供サービスの情報を掲載。「受発注における不便さ」や「企業間取引のアンマッチング」の解消を掲げ、メインターゲットは日本企業の90%を占める中堅中小企業だ。また将来的には「法人向けサービスを活用するすべての企業・ビジネスパーソン」のインフラになることを見据えている。

リブランディングの役割は、こうしたターゲット層へ、同一機能を有するサービス・企業との差別化を打ち出し、永続的に支持されるサービスになること。“支持され続ける”には、サービスの機能的な価値だけでなく企業やサービスブランドのストーリーなど、情緒的な価値の訴求も重要だという。「誰のどんなストーリーに肩入れしたいか」という視点がないと、長期的に支持されることはない。そうした考えから同社は、コーポレート・タグラインとして策定した「プロに出会う。プロになる。」をストーリーの軸に、ターゲット層へ向け、企業やサービスの世界観を伝えることに注力した。

新策定した「コーポレート・タグライン」。

世界観を体現するのは従業員

リブランディングで特にこだわったのが、「リブランディングの過程から、トップダウンではなく従業員と対話しながら進めること」だった。この重要性について、リブランディングを率いた栗山規夫代表取締役は「(サービス)ブランドを創る=自分たちが創り出したい世界観の体現に対して、どれだけ狂う(熱狂する)ことができるか」という表現を用いている。つまり、企業・サービスブランドがつくり出す世界観や掲げるビジョン、ストーリーについて社外の理解・浸透を得るためには、まずそれらを従業員1人ひとりが熱狂的に体現する、その積み重ねが重要だという考えだ。

そこで同社ではファーストステップとして、社内への理解・浸透施策に注力した。希望者を対象に、5人ほどのグループに分け、リブランディングに関する対話セッションを各1時間ずつ計20グループと実施。約70人が参加したセッションでは、その方針や実施の意味を説明するとともに、従業員自身が好きなブランドについてもヒアリングした。担当した栗山代表取締役は「『ディズニー』など従業員それぞれに好きなブランドがあり、誰もが当事者意識を持って話していました。『ブランドは機能的便益ではなく情緒的なものであること』『ブランドそのものよりそのブランドが紡ぐストーリーが好きという感覚を持っていること』を改めて実感しました」と振り返っていたという。

クリエイティブで理解・浸透を

また、コーポレート・タグラインの世界観への共通理解と共感を社内外に促すことを目的に、ブランドムービーも制作した。約5分間のショートドラマ形式で、ブランドマーケティング部に所属する主人公が、目の前の課題に多忙を極めながらも受注企業パートナーである様々なプロに助けられ、家族や同僚と力を合わせプロへと成長する内容だ。制作にあたり重視したのは、描きたい「プロの定義」を明確にすること…

「ブランドムービー」のサムネイル。コーポレート・タグラインの世界観をすべてのビジネスパーソンに伝え、共感してもらうことを目的に作成した。
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本記事の続きは、本誌からご確認ください。
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誌面ではこのほかにも、35年ぶりのグループリブランディングを実施しているJTBグループや、リブランディングで売上高70%増加(単月比較)を実現した北海道のメーカー・環境大善、MVVの社内浸透施策に注力し2023年版「働きがいのある会社ランキング」受賞にもつながったスタートアップ企業hacomonoなど、様々な業種や企業規模のリブランディング事例を取り上げています。

ぜひ誌面を参考に、自社の企業ブランド力の向上につなげてください。

広報会議2024年4月号

写真 書影 広報会議2024年4月号
  • 特集
  • 企業ブランディング
  • 求心力を生む
  • 新たな取り組み
  • GUIDE なぜ今、企業ブランド向上が必要か
  • 社会の目線での存在意義を見つめ直す
  • 小西圭介 ニュースケイプ 代表取締役
  • CASE 1 企業イメージ変革の鍵は
  • 従業員による「ありたい姿」の体現
  • JTBグループ
  • CASE 2 地元・北見の雇用創出にも貢献
  • 環境大善の約5年にわたるプロジェクト
  • 環境大善
  • COLUMN 中小企業のコーポレートブランド生成
  • ベースのモデルは「1対1型」にあり
  • 坂本隆行 筑紫女学園大学 現代社会学部 准教授
  • CASE 3 世界観を伝える要は、従業員による
  • 「熱狂的なエピソード」の積み重ね
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