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世界中の事例を9つの視点で読み解く一冊。―『世界を変えたクリエイティブ51の戦略とアイデア』によせて(本田哲也)

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『宣伝会議のこの本、どんな本?』では、弊社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。今回は、カンヌライオンズの審査員の経験もある本田哲也さんが、『世界を変えたクリエイティブ51の戦略とアイデア』を紹介します。

とにかく、できるだけたくさんの「WORKS」――世界中の実例を、シャワーを浴びるように吸収することには意味がある。本書のエピローグでも、カンヌライオンズでのエピソードが出てくる。南仏の陽光とは無縁の会場地下に潜り、修行のようにひたすらエントリーを見まくるというわけだ。何百という数の実例を見ていくうちに、最初はボヤッとしていた傾向の輪郭が見えはじめ、アイデアの類型化が進む。私自身、自著『戦略PR
世の中を動かす新しい6つの法則』では、そうやって世界中のPR成功例を6つに類型化した。

本書では、それを9つの視点――「正直」「真実」「尊重」「追憶」「技巧」「想像」「協力」「新生」「予期せぬ出会い」――で類型して見せる。カンヌライオンズで評価された膨大な実例を整理する上で、すべて極めて現代的な視点であり、こうして体系化されることで私たちは初めて、世界の実例を自らの「血肉」にすることができる。

しかし、それだけではまだ不十分だ。皆さんにはぜひ、何らかの「実行」に活かして欲しい。グローバルな観点からは、日本のコミュニケーション業界は、たしかに遅れや隔たりが目立つ。しかし本書が指摘するように、生活者側にはすでにそうしたギャップはむしろ存在しない。日本はまだまだ、世界から評価されるようなアイデアやコミュニケーションを生み出せるはずだ。

本書では、(なんとも粋なことに)9つの視点はそれぞれにまず「花言葉」で説明される。例外なく普遍なはずの花言葉が、ある花では変化したというエピソードを、皆さんはご存知だろうか。2004年、バイオテクノロジーの力で「青いバラ」の開発が世界で初めて成功した。このことで、それまで「不可能」だった青いバラの花言葉は、「夢叶う」に変わったのだ。そして、これをやってのけた国が、日本なのである。本書を読んだ皆さんの仕事が、世界をあっと言わせる日を心待ちにしている。

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写真 人物 本田哲也

本田哲也(ほんだ・てつや)
本田事務所代表/PRストラテジスト

「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』誌によって選出されたPR専門家。2006年にブルーカレントを設立し代表に就任。2009年に「戦略PR」を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。2019年より株式会社本田事務所としての活動を開始。2023年にシンガポールに活動拠点を移す。著書に「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」、「ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力」、「パーセプション市場をつくる新発想」など多数。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。

『世界を変えたクリエイティブ 51のアイデアと戦略』
dentsu CRAFTPR Laboratory 著

本書はWEBサイト「LIONS GOOD NEWS
2023」に掲載したコンテンツをベースに、コミュニケーションの真理を9つに整理。それぞれの意味を表す花と花言葉に託し、カンヌライオンズの過去および最新事例とともに、コミュニケーション課題とその具体的な解決方法を紹介。また、本書で紹介した事例の日本語版字幕付き映像のQRコードも掲載しています。