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織物のパターンを施したエンボス紙でブックジャケットを制作

山口崇多

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。

織物のパターンを施したエンボス紙

伝統的な織物のパターンを施したエンボスと50色もの豊富なカラー展開が特長の「NT ほそおりGA」。素朴な印象のある紙だが書籍やカタログ、カレンダーなど幅広い用途で使用されている。今回、50色の中から、煙のようなくすんだ白の「スモークホワイト」、オレンジ系の色味でビスケットの語源でもある「ビスキュイ」、真鶸まひわ(小型の鳥)の黄緑の羽色に由来し中世から使われてきた色「ひわ」の3色を使用し、ブックジャケットをデザインしたのは山口崇多さん。

普段はエンボスペーパーを使う機会が少ないため、チャレンジしてみようと「NT ほそおりGA」を選んだ。「自分で描いた絵柄にエンボスによってテクスチャのようなものが加わったら面白いのでは、と考えました。色ごとのネーミングも魅力的。耳にしただけでは色の想像ができないような名称に惹かれた3色を選んで、アンニュイなデザインの表現を組み合わせています」。

1から4まで番号を振ったデザインは「自分が知らなかった世界を知ることができる」という読書の魅力を表現した。「いずれも新しい世界に没入する瞬間を描きました。

1は飛び込む人、2は未知なる世界への扉、3は目の当たりにした驚き、4はその先に広がっているシュールな世界。一瞬ポカンとしてしまうような、抽象的なイメージです」(山口さん)。2の扉はデボス加工、3の瞳の絵柄の部分にはホログラム箔を施した。また、1の楕円の青い穴と4の絵柄の部分はベースに白を二度刷りし、その上に4色を刷り重ねている。「二度刷りの白によって予想していた以上に、色紙へのフルカラー印刷の可能性が広がったと感じました。未知の世界との出会いを描いているので、SF小説など架空の物語が似合うブックジャケットに仕上がったのではと思います」(山口さん)。

フリーゲート白浜 くろしお想 アートディレクション、デザイン。

YŌNOBI アートディレクション、デザイン。

ACTUS good eighty%「Ame Nochi Hare/Nanimo Shinai Hi」アートディレクション、デザイン。

    今月使った紙:NTほそおりGA

    伝統的な織り柄のエンボスをほどこしたファインペーパーです。多様なエンボスとカラーの組み合わせからなるT-EOS(ティオス)シリーズのひとつで、50色の豊富なカラー展開から選んでいただけます。

    山口崇多(やまぐち・あがた)
    1988年生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。10inc.を経て2021年にcollé(株式会社コル)設立。明るいグラフィックデザインをコンセプトに企業のCI・VI開発、ブランディング、パッケージデザイン、サイン計画、アートワークの提供に取り組む。自社ブランド「omise」では、プロダクトやアートブックなど多岐にわたる分野で表現の探求を行う。

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