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薄型テレビは前年比11%減の470万台 2023年家電小売市場、3年連続で減少

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マーケットリサーチのGfK Japanは、家電小売市場の国内動向を発表した。2023年は前年比1.4%減の6.9兆円。コロナ禍における巣ごもり需要や特別定額給付金の恩恵を受けた2020年は7.3兆円だったが、特需の反動もあり2021年以降の3年は微減傾向が続いている。特に薄型テレビは前年比11%減の470万台で2年連続の2ケタ減。全体的に販売数量が減少する一方、製品価格の上昇が落ち込みをカバーしている。電話やカメラの関連製品が前年の販売金額を上回った一方、AV機器や生活家電は前年を下回った。

薄型テレビは490万台だった2016年を下回り、薄型が主流になってから最も低い市場規模となった。家電エコポイントやアナログ停波による買い替え需要が一巡し、反動減が続いているとみられる。一方「ミニLED」や「量子ドット」などを搭載した高画質モデルのラインナップが増加しており、昨年から販売数が倍増している。55インチ以上の大型サイズは数量ベースで13%を占めた。高価格帯製品が伸びたこともあり、薄型テレビの税抜き平均価格は前年から4%増の9万4000円となった。

AV関連では、動画配信サービスの普及で録画需要が減少していることからBDレコーダーが前年比23%減の100万台で、2割を超える落ち込み。ヘッドホンやヘッドセットは、テレワーク需要の反動で前年比7%減の1890万本となった。

冷蔵庫は前年比5%減の420万台で、2020年から4年連続で前年の販売数を下回った。容量クラス別の数量構成比は、小容量(200L以下)が39%、中容量(201-400L)が24%、大容量(401L以上)が37%となった。大容量の構成比は、家電エコポイント特需からの買い替えや増税前の駆け込みにより40%を記録した2019年から3%ポイント縮小した。

洗濯機は前年比5%減の490万台で、市場規模は2017年以来6年ぶりに500万台を下回った。一方でドラム式洗濯機の販売数は前年から4%増加。タイプごとの数量構成比は、ドラム式が前年から2%ポイント拡大し21%、縦型が77%、二槽式が2%となった。選択容量別の数量構成比では大容量(洗濯容量8kg以上)が51%と過半数を占める。価格の高いドラム式の拡大もあり、税抜き平均価格は前年から5%上昇し、9万2000円となった。

エアコンは前年比7%減の790万台で、2016年以来7年ぶりに800万台を下回った。2018年から2020年にかけて買い替えが進んだことで、夏場の故障率が下がった可能性があるという。最も構成比の大きい冷房能力2.2KW以下の販売数量は前年から1割減となった。

掃除機は前年比7%減の740万台で、すべての主要タイプにおいて販売数量は前年を下回った。キャニスタータイプからスティックタイプへの需要の移行が続き、スティックタイプの数量構成比は前年から2%ポイント拡大し56%。キャニスタータイプは23%、ハンディタイプは11%、ロボットタイプは6%となった。掃除機の税抜き平均価格は前年から6%上昇し2万6000円となった。

テレコム市場では、携帯電話が前年比5%減の2730万台。9割強を占めるスマートフォンが同4%減の2570万台、フィーチャーフォンが同13%減の160万台となった。平均使用年数は4年を超えて高止まりしており、買い替え需要の停滞がみられる。一方、端末価格12万円以上のスマートフォンは前年比78%増で、数量構成比も前年から20%ポイント増の42%に伸長するなど、高価格帯の機種が売れている。

デジタルカメラは前年比7%増の120万台。11年から市場縮小が続いていたが、13年ぶりに数量ベースでプラスに転じた。コンパクトカメラが数量前年比6%増、レンズ交換式カメラが同9%増といずれも伸長。平均価格も上昇しており、デジタルカメラ全体の税抜き平均価格は前年から5%上昇の9万3000円となった。


写真 人物 水村氏
メディア向け説明会で市場動向を解説する水村氏

今後の市場展望について、執行役員の水村純一氏は「20、21年くらいから半導体不足で製品価格が上昇し始め、23年も上がってはいるが、足元では緩んできている傾向もある。この1年間は台数の落ち込みを金額で補うことが難しくなるかもしれない」と話した。量販店では建築資材のコスト増などの影響で、従来の郊外型のロードサイド店よりテナント型店舗の出店が増える可能性があるという。

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