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経済学の視点

「福澤諭吉」のパラドクス

山村英司氏(西南学院大学)

二分される慶應生と部外者福澤が目指した理想と現実とは

2023年夏の甲子園で慶應義塾高校が優勝した時、慶應義塾大学卒の元巨人監督・高橋由伸氏がテレビで発したコメントが興味深い。

高橋氏は慶應義塾高校と同じ神奈川県の高校出身なので、「ちょっと複雑な気持ち」を表明したのだ。

同じ慶應でも、大学と高校は別物。これは大学から入った外部進学組の本音だろう。彼らと内部進学組との間には微妙で根深い温度差がある。

最近まで、私が個人的に知り合った、「塾生」「塾員」は大半が外部進学組だ。彼らが慶應を語るときに見せる複雑な表情。外部組はいつまでもヨソ者であるが完全な部外者からは、「塾生」「塾員」と見なされる。

大学から慶應に入った塾員のひとりである、落語家の立川談慶が結婚式の司会を務めた時のエピソードが興味深い。出席者は「慶應」と「部外者」に二分されていたが、慶應関係者が酔った勢いで『若き血』※を歌いその場の雰囲気が悪くなった。談慶がとりなそうとしても相手側から「あんたもそちら(慶應)側だもんな」と拒否された。同様の雰囲気になった経験が何度もあるという。

※慶應義塾の代表的なカレッジソングとして歌い継がれている歌。

大学から塾生になった新参者は、慶應の内部でも外部でも微妙な存在である。すでにこの連載で紹介したように、慶應義塾の得意技は「共同行為」である。これが成功するための条件は...

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