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米国広告マーケティング事情

米ハロウィーン市場は1.8兆円「Spooky」をテーマに盛り上がるキャンペーン

松本泰輔

10月31日のハロウィーンは仮装代やお菓子代に加えて、パーティー費用や装飾代など多くの支出が見込まれる一大イベント。キャピタルワン銀行は2023年米ハロウィーンの支出を総額122億ドル(約1.8兆円)と予測している。多くの企業が行ったハロウィーン・キャンペーンに共通する“テーマ”とは?

ホーム・デポは7月からハロウィーン関連グッズを販売する戦略

ホームセンター大手のホーム・デポは6月末、「12フィート(約3.65m)の巨大なガイコツ像を含むハロウィーン用装飾品を7月13日から販売開始する」とX(旧Twitter)で予告した。住宅リフォーム用建材やガーデニング用品などを主に販売する同社は、数年前までハロウィーン商戦には熱心ではなかった。ところがコロナ禍の2020年秋、上記の巨大スケルトンを発売したところ、自宅待機に飽きてネットで何か面白いものを探していた消費者に発見され、TikTokを通じて全米に知れ渡った。以降、300ドル(約4万5000円)の巨大スケルトンは毎年売り切れるヒット商品に。

2023年はディズニーとタイアップして1993年の映画『The Nightmare Before Christmas』のキャラクター人形を販売。同映画の主要キャラクターのジャック・スケリントンは身長約4mで、電動で顔や口が動き、プログラムされたセリフを喋る。同社はハロウィーンにほとんど予算をかけず、TikTokとInstagramの投稿による口コミで展開している。同社CEOテッド・デッカー氏は「ハロウィーンは弊社にとって最大のビジネスではないが、顧客と強い関係をつくることに成功している」とアドエイジ誌に述べ、自社のマーケティングチームの仕事を讃えている。

(1)ホーム・デポ

ディズニー映画のキャラクターを商品化したホーム・デポの2023年お化け人形シリーズ。マスメディアに予算をかけずに、TikTokとInstagramでの口コミでヒット商品を生み出している。7月から陳列されているホーム・デポ店内のハロウィーン装飾品コーナー。近年では電動で動き暗闇で光る人形が人気となっている。

パーティー・シティの「恐怖のドッキリビデオ」を募集するキャンペーン

多彩な衣装や飾り付けなどパーティーグッズ専門店のパーティー・シティは、消費者にドッキリを仕掛けた複数の動画を公開した。患者4人が座る病院の待合室でマスクをした女性(仕掛け人)が突然激しく咳き込む。立ち上がってマスクを外すと、口の周りが血だらけ。次の瞬間、顔面から流血している男性(仕掛け人)が待合室に飛び込んできて、別の女性はパニックになり走り去る動画など。これらの動画を公開したのち、Instagramで9月から10月末までドッキリ動画コンテストを告知。優秀者にはジョージア州サバンナへのペア旅行、ピザ1年分、500ドル相当のギフトカードなどの賞品が贈られた。

(2)パーティー・シティ

ドッキリビデオ。夜間友人を訪ねてきた若い女性が玄関のチャイムを押して待っているとき、オバケ人形や巨大蜘蛛が背後や天井から襲ってくる仕掛け(左)。ひとりでエレベーターに乗って...

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