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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

人と人をつなぐコミュニケーションツールへと進化 情緒的価値の強化で愛され続ける「キットカット」の50年

ネスレ日本 キットカット

(左)1973(右)2023

1973年に日本に上陸し、今年で国内での発売50周年を迎えた「キットカット」。元々は1935年にイギリスで誕生。イギリスのヨークにある菓子会社ロントリー社が工場で働く労働者の昼食や休憩時に手軽にエネルギー補給できるチョコレート菓子として開発したものだ。

サクサクのウエハースに、チョコレートをコーティングし、ポケットに収まるコンパクトサイズと、すぐに食べられる手軽さが最大の特長で、発売当初は「チョコレート クリスプ」という製品名だった。その後、「キットカット チョコレート クリスプ」と名称変更を経て、現在の「キットカット」となったのは1942年。戦時中は牛乳不足でやむなく味を変更しており、消費者に分かりやすく伝えるため青いパッケージで発売。従来のレシピに復帰できた1949年に赤いパッケージへと戻した。

日本でも、発売当初は本国の製品と同様の形状である「4フィンガー(4本が連なっている)」の台形型で発売を開始した。「『キットカット』はチョコレートとウエハースのグッドバランスで、2つのおいしさを提供しています。味わいだけでなく、パッケージを開けて、パキッと割って食べるという、口に運ぶまでの体験は『キットカット』の独自性であり、強みです」と語るのはネスレ日本 コンフェクショナリー事業本部 インツーホーム マーケティング部長の村岡慎太郎氏。

この食べるまでの一連の動作は、過去にテレビCMでも強調するなど、「キットカット」の最大の特長であり、差別化ポイントとしている。

また、受験シーズンに実施するキャンペーンも風物詩となっている。パッケージに書かれた応援メッセージに励まされてきた人が多数存在することから、同社ではブランド価値として、こうした「エモーショナルベネフィット(情緒的価値)」の提供も重視。周年施策では、人々の絆を深めるコミュニケーションを図っていく。

視点01 商品・ラインアップ
日本人の嗜好に合わせた豊富なフレーバー展開

イギリス生まれの「キットカット」は、日本市場や日本人の嗜好に合わせて独自にラインアップを展開してきた。2000年に発売したストロベリー味で好評を得たことをきっかけに、本格的にフレーバー展開を開始。

国内各地の名産品や地域企業とコラボした「ご当地キットカット」や「期間限定商品」など、さまざまなフレーバーを開発し、これまでに累計400種類以上の商品を販売してきた。抹茶や日本酒などの日本の食材や、マンゴー、スイカ、ゆずなどのフルーツ、わさびや一味唐辛子、醤油や味噌といった和の調味料などユニークな組み合わせで、チョコレートの新たな発見や驚きを提供。

2003年から形状を日本人の好みに合わせ、2フィンガーへと小分けで食べやすいサイズに変更するなど工夫を重ねてきた。

2010年からは、大人をターゲットに...

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