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社会学の視点

花や木とコミュニケーションできたら

遠藤 薫氏(学習院大学 名誉教授)

『ぼくの地球を守って』を覚えていますか?

最近、面白いニュースを読んだ。イスラエルの研究チームが2023年3月30日にアメリカの科学論文誌『Cell』に発表した論文によると、植物は感染症になったり、切断されたりすると、カチッカチッといった音を出す。音はストレスの種類や状況によっても違う。言ってみれば、植物も「声」のようなものを発しているのだ。非常に高音なので人間には聞こえないが、動物や昆虫には聞こえているかもしれない、という。

動物や昆虫は植物の「声」を聞いて、それにあった振る舞いをするのかもしれない。そこには一種のコミュニケーションが発生しているのだ。

人間たちはこれまで、植物は確かに生命を持ってはいるが、意思も感情も感覚も持たず、動物よりモノに近い存在だと信じて疑わなかった気がする。ところがこの研究によれば、それを意思や感情と呼ぶかどうかは別にして、少なくとも自分の状況を認知し外部へメッセージを発しているらしい。いずれは、草木や花の「主体性」や「想い」について考える日が現実となるかもしれない。

1986年から1994年まで少女コミック誌『花とゆめ』に連載された『ぼくの地球を守って』(略して『ぼくたま』、日渡早紀作)という作品がある。前世は異世界に生きていた男女が、現代日本に別人として転生し、次第に...

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