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経済学の視点

勝ったのか?しくじったな!

鎌田雄一郎氏(カリフォルニア大学バークレー校)

2020年ノーベル経済学賞の、スゴイ理由

ここまで4回にわたりオークションについて語ってきたが、基本的に売り手目線での解説に終始してきた。本稿では、入札者目線で考えていこうと思う。その中でも特に、非常によく知られている「入札者が陥りがちな罠」について話したい。

第1回で、「米国では家の売買もオークションで行われる」という話を書いた。本稿では、この「家の売買」を例にとろう。

米国では、家が売りに出されると、まず週末を数回使って「オープンハウス」が行われる。ここに、購入に興味のある人たちが訪れる。その中でも特に興味を持った人たちは、売り手に資料を請求する。

資料には、家のどこに問題があるのか、修理にはどれくらい費用がかかるか、などの情報が盛りだくさん書かれている。ここで、「修理?なぜ?」と思われた方がいるかもしれないが、私が話しているのは中古の家の売買のことだ。米国の市場にある家はほぼ中古だと言っていい。いちいち更地にして新しい建物を建てるなどという日本的なことはなかなかしない。

さて、資料に目を通した購入希望者たちは、「〇〇ドルで買います」というオファーを出す。それらのオファー額の中で、通常一番高い額のオファーが買い手として選ばれ、その買い手は自分のオファーした額を支払う。つまり、(第3回で学んだ)一位価格オークショ…

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ピカソ、紙切れ、グーグル、お花。
マクドナルドで、オークション?
オークションは、源頼朝である。
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