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長寿企業の極意・周年イヤーの迎え方

好奇心を刺激する未来思考を重視 経営変革に向け『開拓者』を育む場に

旭化成

社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。

2022年5月、総合化学メーカーの旭化成が創業100周年を迎えた。周年事業は当初から対外的なPRではなく、経営課題解決に向けた社内の意識変容の機会とすることを決めていたという。

「当社は2022年4月に新社長が就任し、新中期経営計画では『Be a Trailblazer(開拓者たれ)』をコンセプトに、事業ポートフォリオを大きく変える覚悟を示しました。周年事業では一人ひとりがより未来思考で自律的に考えていく契機として、創造力を喚起したいという狙いがありました」と語るのは、インターナルイベントなどを手がけた広報部ブランドコミュニケーション室の岩附美緒氏。

“旭化成らしさ”を共有

まずは、“旭化成らしさ”という無形資産を再認識・共有するため、20年ぶりに社史を編纂。現場の体験談を深掘りし、同社のDNAを今に伝える従業員向け冊子も制作した。担当したのは広報部の菅田顕氏(当時は総務部社史編纂室)。

「当社は、繊維に始まり総合化学、住宅、医薬と、これまでも事業のポートフォリオを転換しながら成長してきた歴史があります。新たな転換を見据えるタイミングだからこそ、その歴史を100年史にきちんと記すことを意識しました」。

さらに、国内外の従業員から後世に残したいエポックメイキングなエピソードを募集。150件近い応募から選んだ100本を「100 Stories」として5カ国語に翻訳し、社員向けの周年サイトで公開した。

「1972年に始まった住宅事業の『ヘーベルハウス』は人手不足などの苦労がありながらも『住宅業界のベンツを目指す』という覚悟でやり抜いたというエピソードや、2012年のゾール・メディカル社とのM&Aは“命を救う”という理念への共鳴があったことなど、過去の苦労や判断を改めて知る貴重な機会になったと思います」(菅田氏)。

100周年当日の2022年5月25日には、“未来志向”を体現するインターナルイベント「IMAGINATION SHAPES THE FUTURE」をオンライン配信で開催。「100 Stories」から6本をショートアニメ化したほか、ノーベル化学賞を受賞した同社名誉フェローの吉野彰氏がイノベーションを紐解く「AK Talk」、ドミニク・チェン氏ら有識者と想像力や好奇心について考える「Interview Relay」など...

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