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デジタル活用で売り場の未来が変わる

AI×リテールメディアで見えた真の購買行動

松永 遼(カルビー)

購買行動におけるデジタル化が加速する中、小売業の在り方は大きく変化している。本連載では買い物客の行動分析にもとづいた効果的な販促の在り方を解説する。最終回のテーマはリテールメディアにおけるAI活用です。

第1回ではデジタルによる流通業界、お客さまの変化とメーカーに必要な変化をテーマに購買データの有効性について、第2回ではID-POSを使った顧客ターゲティング施策に機械学習を使って取り組んだ事例をご紹介しました。最終回となる第3回では、カルビーで取り組んでいるリテールメディアの事例についてお話しします。

自社商品の棚の前にいる顧客を理解しているか?

昨今、リテールメディアというワードを見ない日がないくらい様々なシーンで目にする機会が増えました。リテールメディアというワードには、デジタルサイネージやオウンドアプリなどのデジタルツール、電子決済や無人レジ、自動発注などの小売におけるデジタル化された機能まで様々なソリューションが含まれていると感じています。今回の事例は、リテールメディアの中でも店頭においてAIを活用したデジタルサイネージの事例です。

カルビーでは急速に進化する小売における技術革新やデジタル化に対応するべく、2017年から一般社団法人リテールAI研究会の会員になっています。

リテールAI研究会では、小売、メーカー、卸、Tech企業と共同でリテール分野におけるAIテクノロジーのビジネス活用を目指しています。カルビーは、リテールAI研究会のリテールメディア分科会に所属し、AIを活用した店頭サイネージによって、棚前行動の測定や効果検証を行い、店頭におけるお客さまとの最適なコミュニケーションは何か?を模索しています。

リテールメディア分科会で活用した店頭サイネージは、顧客と棚の距離に合わせたコンテンツの出し分けと、お客さまの棚前行動の計測ができるソリューションとなっています。

コンテンツの出し分けは、顧客とサイネージの距離をFAR(通過)、NEAR(立ち止まり)、PICK(接触)の3段階に分け、各段階に適切なコンテンツを配信することで、お客さまとインタラクティブにコミュニケーションを取り、購買の後押しが実現できます。

また、棚前行動を計測することで、従来はレジを通過した商品個数という購買実績しかわからなかったのに対して、お客さまが購買する前の情報は、該当商品が並んでいる売り場での❶通過した、❷立ち止まった、❸商品を手に取ったという行動がわかり、最終的に何人のお客さまが興味を持ってくださったのかを把握することができます。購買前の情報がわかることで、お客さまが売り場のどこで困っているのか、どこを評価していただいたのかを把握し、より効果的な施策が実現できると考えているのです。

店頭サイネージが顧客へ...

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