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経済学の視点

そもそもオークションなんてしないほうがいい?

鎌田雄一郎氏(カリフォルニア大学バークレー校)

オークションをしないと晒される、2つのリスク

先月稿は衝撃の結末を迎えた。どんなオークションをしても、収入は変わらないというのだ。

その背後にある実に緻密な、そして美しい証明を書く紙面の余裕は十分あるのだが、なにせややこしいのでやめておく。そのかわり、本稿では収入の話をもう少ししたい。

どんなオークションをしても儲けが同じなのは分かったけれど、オークション以外の方法と比べたらどうなのか?そもそもオークションなんてしないほうがいい、なんてことはないのだろうか?この問いに答えるために、もっと普通の売り方を考えよう。単に、値段をつけるのだ。

「単なる値付け」には2つのリスクがある。たとえば、値段を50万円にしたとしよう。もし誰もが50万円だと高すぎて出したくないと感じた場合は、商品が売れなくなってしまう。これが1つめのリスクだ。2つ目のリスクは、もし購入希望者たちが支払ってもいいと思っている額が50万円よりもずっと上だった場合、本当はそういった高い値段をつければもっと儲かったのに、50万円に決め打ちしたおかげで50万円しか儲からない、ということだ。

一方、オークションなら、入札者たちがいくら払いたいかを売り手が事前に分かっていなくても、入札額を通してうまく支払額が決まる。だからこれらのリスクはなさそうだ。

しかし、「単なる値付け」...

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