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デジタル活用で売り場の未来が変わる

ID-POS×AIの活用で進む、『近未来』の顧客理解

松永 遼(カルビー)

購買行動におけるデジタル化が加速する中、小売業の在り方は大きく変化している。本連載では買い物客の行動分析にもとづいた効果的な販促の在り方を解説する。初回のテーマはリテールDX(ID-POS)を取り上げる。

前回はデジタルによる流通業界、お客さまの変化とメーカーに必要な変化をテーマに購買データの有効性について話しました。今回は購買データの中でも、ID-POSを使った顧客ターゲティング施策に機械学習を使って取り組んだ事例についてです。

前回の記事で、POSデータは商品がどう売れたかがわかる「商品主語」の情報。ID-POSデータはPOSデータに加えて、どのお客さまに買ってもらえたかがわかる「お客さま主語」の情報だと書きました。さらに、ID-POSデータはPOSデータよりも売上分解を細分化することができ、よりお客さまの購買を後押しする施策の実現が可能です。

私たちカルビーは、取り組んでいる購買データ分析の中でも特に、このID-POSデータの活用に注目した施策を行っています。今回説明する購買データを使った顧客ターゲティング施策の事例は、このID-POSデータを活用した事例です。

機械学習で初めて見えた 来店頻度と購入数の重要性

私が所属するカルビーのリテールサイエンス部では、お客さまの購買データを分析することで、顧客理解を深め、課題発見、仮説づくりを行い、店頭でお客さまの購買の後押しをすることを目指しています。

お客さまの購買を後押しするためには、お客さまの購買データに加えて、❶購買データに基づく課題発見、❷課題解決するための仮説立案、❸お客さまへアプローチする施策、の3点が必要です。

❶~❸を進めるにあたり直面するのは、ID-POSデータは、お客さまの日々の購買履歴が蓄積されたビッグデータであるため、データ量が多く、分析の難易度が高いという課題です。

当社ではこの課題を解決する糸口としてAIプラットフォームであるDataRobotを活用した機械学習を導入しました。現在、カルビー×DataRobot×サービスベンダーの3社で課題解決に取り組んでいます。

今回話すのは、この機械学習を活用した取り組みの中でも販売部門で行った事例で、ポテトチップスの新規購買を促す店頭クーポン施策の利用率改善をテーマに進めたものです。過去に対象商品(ポテトチップス)を購買したことがないお客さま(新規顧客)...

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