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ARTS卒業制作レポート

アートディレクター養成講座 卒業制作優秀作品を発表

アートディレクター養成講座

アートディレクションを多様な視点から学ぶ、宣伝会議「アートディレクター養成講座(ARTS)」。今回で23期を迎えた本講座では、半年以上にわたり講義が行われ、受講生が卒業制作に取り組んだ。「任意のクライアントを設定し、ブランディングデザインをしてください。制作するアイテムは自分で考えてください」という課題を出題。

受講生は、実在の企業、ブランド、店舗などを題材とし制作、植原亮輔さん(キギ)、柿木原政広さん(10inc.)、河合雄流さん(電通)が講評を行った。受講生がクライアントに自主提案をするかのように、企画とクリエイティブをつくり上げ、プレゼンを実施。ここではその中から選ばれた優秀作9作を紹介する。

植原亮輔さん(キギ)

柿木原政広さん(10inc.)

河合雄流さん(電通)

植原クラス 金賞
田中萌生(GREY Tokyo)

企画意図

子育てに冷たい国・日本。温かい眼差しは、身近な人の子育てを想像することで育まれるのではないかと考え、そのきっかけの場となる「ベビーギフト専門店」を企画しました。ギフトを贈ることは、相手に想いを巡らせ、想像する体験です。妊娠週数や赤ちゃんの月齢に合わせたギフトアイデアの展示や、コンシェルジュによる接客、親になることを巡るさまざまな情報を発信するフリーマガジンを通し、子育てについて手触りを持って想像する機会を提供します。

誰でも気負わずふらりと来店できるように、オープンでニュートラルな印象の空間を、来店者が自分の感覚で選べるように、大人の鑑賞に堪えるプロダクトやパッケージをデザインの指針としました。

ARTSを受けて

日頃の「こんなものがあったらいいのに(つくりたい)」を形にし、発表し、第一線で活躍する講師の方々に講評していただくのは、刺激的で楽しい体験でした。目標だった①「課題で毎回優秀作に選ばれる」、②「卒制でブレーンに載る」を達成し、少し自信がつきました。背中を押してくださった皆さま、ありがとうございました。これをひとつの励みに、今後も学び鍛え続けたいと思います。

柿木原クラス 金賞
奈須千比呂
(CS Nine)

企画意図

福岡県にある「石窯パン工房 童夢の森」は、地元の小学校でワークショップを開催したり、自家製の米粉を使ったパンづくりをしたりと、さまざまな活動をされているパン屋さんです。地域の憩いの場、食育の場となれる新しいパン屋さんを目指し、ブランディングしました。「童夢の森」の活動をもっと知ってもらうために、オリジナルキャラクターを開発し、それらが主人公として登場する絵本を制作。子どもたちに人気の動物型のパンなど、お店の看板商品も紹介する内容にしました。また、よりお店に親近感を持ってもらえるようなツールも考案。お店の看板や窓を模したペーパーバッグをデザインしました。

ARTSを受けて

アートディレクションに関する多分野の講義を通し、クリエイティブな思考に触れることができた充実した半年間でした。課題演習では、講師陣の講評、受講者の皆さんのアイデアに刺激を受け、受講のたびに成長を感じることができました。講師の方々の言葉で共通していたのは、自分の強みを活かすこと。学んだこと一つひとつをこれからの仕事に活かしながら、自分のスタイルをつくっていきたいと思います。

河合クラス 金賞
宮澤淳一郎

企画意図

地元・長野県諏訪市のブランディングをテーマに、コロナ禍で市の重要な観光資源の花火大会が開催できなかった中、伝統的な食文化である昆虫食にスポットを当て、新たな観光のフックとしてブランド化できないかを考えました。ロゴ制作、PB品として瓶詰めやプロテインバーのパッケージ、昆虫食のアレンジ料理を提供する飲食店のマップ、諏訪の酒蔵とコラボし駅ナカの昆虫食をあてに飲める日本酒バーを提案しました。虫の苦手な人にも虫要素をなるべく減らし興味を持ってもらえることを目指し、伝統的な食文化を若い世代に伝えることも目的としています。

ARTSを受けて

日々仕事をする中、自分のアウトプット力に自信が持てず一度しっかりとアートディレクションについて学ぶ必要があると思い受講しました。講義や課題の中で一番感じたのは、知識をつけなければいけないということで、そのために仕事以外にも生活の中で経験を積み、常に“なぜ”を考え想像力をつけることが必要であると学びました。また、どの講師の方も楽しそうに仕事をしていたのが印象的でした。充実した半年間でした。

植原クラス 銀賞
蛭子彩華(TEKITO DESIGN Lab)

企画意図

次世代人財塾 適十塾が2010年からバングラデシュで取り組んでいる布わらじブランド「ami tumi(アミ トゥミ)」のリブランディングを行いました。私自身が適十塾の第1期生であるため、思い入れのあるブランドを卒業制作のテーマに選びました。ami tumiは、ベンガル語で「私と君」を意味します。バングラデシュと日本、伝統と革新、過去と未来など、さまざまな私と君をつなぎたい。そして「大切なことは、すぐ足元にある」という新たな気付きを映し出すブランドでありたいという願いを込めて、プロダクトやブランドサイトなどのデザインを企画しました。

ARTSを受けて

私は社会学部を卒業後、独学でデザインの勉強を始めました。デザイナーを志したのは、「デザインの力で、社会課題を解決したい」という思いからです。ARTSに申し込んだ動機は「自分は今どこにいるのかを見つめ直すため」でしたが、受講後の今、「自分自身の原点に、前よりも力強く立ち返ることができた」と感じることができています。ARTSに携わる全ての皆さま、貴重な学びと熱いパッションを注いでいただき、本当にありがとうございました!

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