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IRの学校

IRの学校 17時限目「株主総会における質疑応答の原則」

大森慎一(バンカーズ)

イラスト/もとき理川

上場財部株谷:こんばんは。

大森:こんばんは。さて、今日は株主総会の準備に関連した話がしたい、ということだけど。

上場:はい、今、株主総会の準備中なのですが、想定質問・回答の詰めを行っておりまして、それに関連して質問があります。

大森:そうか、そういう時期だね。1年経つのは早いね。

財部:そうですか、まだ分からないことが多いせいもあって、新たな課題に追われる日々で、振り返る暇がない気がします。

株谷:時間間隔の差は、それまで過ごした時間の違いのせいだと言われているよ。新しいことに触れて、インプットすることが多いと脳への刺激も多いからね。

大森:確かに、私も昔よりぼおっと過ごす刺激のない時間も増えた気が……。まあ、そんなことは置いておいて、杏奈さんのお話をお聞きしましょう。

上場:はい、各部署からの想定質問への回答案を集め、「不整合がないように」「非開示情報が含まれないように」確認。さらに回答全体のトンマナを調整しているのですが、各部署へ再質問することも多くなってしまい、逆に「どういったことを書けばいいか決めてもらえないか」と言われまして。その回答が難しく……。

想定質問と質疑応答の原則

大森:なるほどなるほど、では、その話の前に一度、想定質問のつくり方をおさらいしてみようか。

上場:はい、お願いします。

大森:まず、本年度の株主総会のテーマ決め。経営理念や対話ポリシーとの整合性を考えながら株主総会のテーマ・目標を決定するんだけど、これには理想的な株主との関係性と現状の関係性とのギャップを整理することが必要。

株谷:カーナビの例え(2023年5月号参照)ですね。

大森:そうだね、次に、総会で達成すべきゴールイメージの共有。これには、「会社法における株主総会の目的事項」の遂行という最低限のクリアすべき目標がある。それを踏まえたうえで、総会を「株主と経営陣が直接対話できるチャンス」と捉え、理解してほしいことを伝える場にしてほしいね。

上場:そうですね。今回からバーチャルオンリーで進めることになり、新しい企画も考えているので、そちらとも連携するようにします。

大森:いいねえ。こうした整理に基づくと、株主総会の想定質問は「会社が伝えたいこと、理解してほしいこと」に沿った回答内容になるはずだね。

上場:なるほど、目的を明確にすると、自然にトンマナの一貫性は保てる気がしてきました。

財部:それでも...

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