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納得感を高めるサステナビリティ発信

価値創造プロセスを1冊で表現する構成に 評価される「統合報告書」のポイントとは

新実 拓(イチロクザンニ)

統合報告書は投資家に対して企業の財務情報・非財務情報を発信するツールだが、同時にさまざまな人に企業の魅力を伝えることもできる。だからこそ「多くの読者が内容を理解できる『分かりやすさ』と、思わず読み進めたくなる『読み物としての面白さ』を追求することが重要」だとIRのクリエイティブ制作に詳しい新実拓氏は語る。その上で、企業価値の向上につなげるために意識すべき制作のポイントは、大きく2点あるという。

読者の多様化を意識

1点目は、「企業についてこれから知りたい人も読む」という旨を関係者が理解しておくことだ。新実氏が、国内の全上場企業の統合報告書を分析した印象として、画一的なフォーマットの中にただ要素を当てはめた、形式的で企業独自の魅力がアピールできていないものが多く見られたという。その原因として「読者」の想定が足りていないことが挙げられる。

「昨今は、投資家だけでなく、各種評価機関や取引先、消費者、求職者なども統合報告書に触れる機会が増加しています。優秀な学生や求職者ほど統合報告書に目を通してから面接に臨む傾向もあり、企業には幅広いステークホルダーを意識した情報開示が求められます。しかし現状は機関投資家などの専門家に向けた統合報告書を発行する企業が大半。制作に携わる方たちは多様な層が読者になることを想定する必要があるのです」(新実氏)。

大方の企業では、制作時にさまざまな部署の情報を広報・IR担当者がとりまとめる形を採用しているが、各部署から「掲載してほしい」と寄せられる情報は専門性の高いものが多い。その情報を制作担当者がフォーマットに合わせて羅列しただけでは“読者目線での...

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