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企業のサステナビリティ

メディアから見たESG発信の蓄積が上手い企業

猪澤顕明(会社四季報オンライン)

中長期的な企業価値の成長につながる「サステナビリティ発信」。しかし、見せかけの発信ではステークホルダーの不信感をあおることになってしまう。どのような姿勢が企業の信頼獲得につながるのか、メディアの声を聞いた。

──近年、反響が大きかったサステナビリティ関連の記事はありますか。

情報開示が義務化された「人的資本」関連は、『会社四季報オンライン』の場合、まだ記事が読まれにくいというのが現実。これは、読者である投資家にとって、企業の業績や株価にどう結びつくのかが分かりにくいためです。逆に言えば、成長につながるストーリーが提示できれば、投資家に関心を持ってもらいやすいとも言えます。

そんな中でも2020年に公開した「女性出世企業」ランキングは、多くの人に読まれた記事です。編集部では、読者が企業に抱くイメージから想像する「女性が活躍している会社」とのギャップがあったことに加えて、一目で他社との比較検討がしやすい形だったことが好評だったのではと考えています。これを踏まえると、女性管理職の割合など比較しやすい数値項目を一通り抑えておくことも大切だと言えそうです。

また、専門家による寄稿連載では「ESGマネーが集中しそうな企業内容開示の優良銘柄」「給料の高い会社は『投資でも“優等生”なのか』」といった内容も掲載しています。証券業界で注目度が上がっているのは確かですね。

──人的資本関連の情報発信が上手だと感じる企業の共通点はありますか?

労災件数といったネガティブなデータも開示している点です。ESGウォッシュといった言葉もよく見かけますが、実態がないのにESGアピールをする企業も出てきています。そのような状況下で、自社にとって良い情報ばかりを開示していると逆にわざとらしく...

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