【連載・Web3.0 Experience】 Vol.2 メタバース – 注目を集めたハイプ期を過ぎたその後は?

ほんの数ヶ月前、世界でメタバースが大流行しました。世界中の企業がデジタルワールドを構築する実験を開始し、一部のコメンテーターは、すべてのビジネスが将来生き残るためにメタバース戦略を必要とするとまで喧伝しました。しかしながら今にして思えば、この熱狂は少々行き過ぎたものだったと言えるでしょう。世界はもう新たなバズワードであるAIにシフトしています。とは言え、「メタバース」という言葉が流行ることはなくとも、拡張現実が当たり前になりつつある未来においては、その背景にある中心的な考え方は極めて重要な役割を担っています。オンラインショッピング、街中の移動、遠く離れた同僚との仕事など、メタバースは私たちの生活を形成していて、単にそう呼ばれていないだけなのかもしれません。

2022年末、人間の文化がどのように変化しているかを研究するため、ゆず兄弟(セミオティック&カルチュラルインテリジェンスエージェンシー)はLINEリサーチと共同でメタバースに関する日本人の認識について定量調査を実施しました。

調査結果を振り返り、ゆず兄弟のCO-CEOを務めるSven Palys(スヴェン)、ジオメトリー・オグルヴィ・ジャパン合同会社 ヘッドオブストラテジー、エクスペリエンスのChris Hilton(クリス)、クリエイティブテクノロジースタジオStrataのクリエイティブディレクターのLinus Lim(ライナス)が、グローバルな視点でメタバースとは何か、そしてそれが私たちの体験をどのように形作るかについて議論しました。

スヴェン:経歴、現在広告業界でどんなお仕事をされているかについて少し伺えますか?

クリス:私は現在、香港を拠点にしながらジオメトリー・オグルヴィ・ジャパンのヘッドオブストラテジー、エクスペリエンスを務めています。また、ブランドと消費者の関係性に焦点を当てウェブ3.0やメタバース、AR、VR、拡張現実、更には新しく台頭してくるテクノロジー関連の全てに対応する「Reality」というオグルヴィ・グループのスタジオラボの監督も務めています。

ライナス:私はStrataのクリエイティブ・ディレクターです。Strataでは、アーティストが制作する伝統的なアート作品をデジタル空間に転換してメタバースの体験に連携するお手伝いをしています。銀座でElisa Insua氏の作品の展示(現在は終了)を行ったり、また彼女のAR作品の一部をSpatialでデジタル展示もしました。Strataではリアル素材とデジタル素材をつなげる新商品のための寄付金を募っています。私個人に関して言えば、アニメのキャラクターが関わるNFTの新規プロジェクトのリーダーも務めていて、このようなプロジェクトに関心のある関係者の方々と共にコミュニティを巻き込んで新規フランチャイズを立ち上げようとしています。

スヴェン:私の頭の中に常にある疑問の一つとして、そもそも「メタバース」とは何か?という定義の問題があります。皆さんはメタバースをどう定義されますか?そして、我々の従来の生活を補強するものとしてメタバースを用いることについてはどう思われますか?

ライナス:私はメタバースを、その最も広範囲な定義で捉えています。つまりそれは私たち皆をつなげるデータのパイプである、という風に。私たちは物理的な存在としてだけではなくデジタルの分身も存在していて、例えばZoomとかTeamsの様なツールを通じて、デジタル世界で他の人と関わり合うことが出来ます。今私たちの手元にあるツールが改善されたことによって、「メタバース」が以前に比べてより興味を集める様になりました。今後3Dの技術がより高品質、高画質になれば、より多くの人にとって、もっと目に見えて分かりやすくなるのではないかと予想しています。

クリス:「メタバース」という言葉は、ここ2年間で様々な異なる意味に解釈されていますが、この言葉の当初の定義は「社会的な交流が可能な3D環境」というもので、最近新しく生まれたものではなく何十年も存在しています。例えば「セカンドライフ」は20数年間前から存在しています。おそらく皆さんFortniteやMinecraft、Roblox、Call of Duty、あるいはその他のオンラインのアバター系ゲームで遊んだ経験をお持ちだと思います。それが改めてこんなに話題になる理由は、技術面がどんどん進化してより没入感のある体験になり、創造されているオンライン体験がより面白くなってきているからです。しかしながら、メタバースは現実と置き換えるものではありません。既存の体験を拡張するもの、物理的な、いわゆる「リアル」と「デジタル」の世界をつなげるものだと考えています。

スヴェン:興味深いと感じるメタバースの活用例は?

クリス:私はB2Bの分野に注目をしています。メタバースは、製造やプロトタイプ製作などのB2Bの分野で有用です。3Dレンダリングが活用出来るもう一つの分野は不動産で、お客様が不動産物件に実際に入ることが出来なくても、バーチャルで内覧することが可能です。例えば、現在建築中の店舗があったとして、パリの店舗に飛行機に乗って実際に訪問することなくその空間を設計したり、建築現場で現在どのようなことが行われているのかを確認し、承認したりすることも出来るでしょう。その場に物理的に居ることなくリアルタイムで没入感のある体験が可能なことは非常に強力な利点ですし、画面を通じて店舗の解説をするのではなくて店舗内をVRのヘッドセットを着用して歩けば、さらにレベルアップした体験を実現出来ます。
数年前は全て非常に高価だったソリューションが、現在多くがほぼ無料です。3Dレンダリングやバーチャル環境の有用性はまだまだ可能性が残されていて、現在はまさに氷山の一角のような場所にいると考えています。

ライナス:実際、空間の圧縮はデジタル世界の最大の利点で、多くの異なる業界に多くの恩恵をもたらしてくれます。何かを確認するにあたって、直接目視出来る方がもちろん良いわけですが、全ての業界において何かをデジタルの世界に展開していくというのは本当にゲームチェンジャーになり得ます。
さらに言えば、このテクノロジーは私たちの働き方そのものを変化させつつあります。昨日、お子さんをお持ちの女性と話したのですが、彼女がこう言ったんです:「日中はフルタイムで仕事をしているのだけれど、こういったテクノロジーの実験が大好きだから、夜子供たちを寝かしつけたあと、VRヘッドセットを着用してイベント空間のデザインを始めたの。そのデザインで報酬をもらっているのよ!」と。彼女は日中何らかの仕事をしつつも、自分の興味関心に合わせて夜に別の仕事をし、しかもその対価として報酬を支払ってもらえているというこのケースは、例えば全く違うタイムゾーンの国に所在している会社の仕事をすることにも当てはめられるし、こういったこと全てが、この新しい空間で仕事をしたいと思っている非常に多くの才能を開花させるのだろうと考えています。

スヴェン:それに付け加えて言えば、私はメタバースの「DEI (ダイバーシティ=多様性、エクイティ=公平性、インクルージョン=包摂性)」の側面にも興味があります。テクノロジーは、今までなんらかの障壁によって抑えつけられていた人たちにも均等に機会を提供することが出来るのでは、と考えています。例えばですが、デジタル空間の中だったら実際の性別は関係ないわけです。しかしながら、テクノロジーについて十分に詳しくない場合など、新しい形の差別が生じる可能性もあると認識しています。また、デジタル空間をリアル社会に見られる様な男性社会ではなく、性別や民族、恋愛対象の性別なども関係のない、多様な背景の人々が差別されずにその空間に価値をもたらすことが出来るようにしようとする真摯な努力があることは素敵なことだと思いますが、これももしかしてあくまで願望に基づいた理想に過ぎず、現実は異なるかもしれないということも認識しています。

スヴェン:調査結果では、実に65%が既に「メタバース」という言葉を聞いたことがあるという結果が得られました。かなり新しい概念であるにも関わらず、です。更に、性別や年代にもあまり違いが見られませんでした。この言葉の拡散には、伝統的なメディアが主たる役割を果たしたようです。メタバースを一般に啓蒙するという意味で、日本のメディアの果たした役割についてはどう思われますか?

Q. Have you heard of the term Metaverse?
 「メタバース」という言葉を聞いたことがありますか?

Q. From which source you heard about the Metaverse?(only for those who are aware of the Metaverse)
 「メタバース」についての情報は、どの情報源から入手しましたか?(メタバースについて知っている方のみ)

ライナス:日本のテレビはメタバースを説明するにあたって妥当な役割を果たしていますし、政府はこの分野のイノベーションをポジティブに捉え、かつ促進しています。全体的に、日本ではメタバースやその関連技術に対するイメージは好感のあるもので、日本の経済を成長させる新たな要因の一つとして可能性がある、という風に喧伝されています。

クリス:認知度という意味で、アジアではなるべく多くの人にメッセージを届けたいなら大抵テレビが主たる手段です。日本もそういった意味では例外ではありません。ニュースの消費という意味でTwitterのようなプラットフォームは大きな役割を果たしていますし、また専門性のある情報の場合は、TwitterやLINEの方が遥かに重要性が高くても驚きません。しかしながら、リーチの規模やインパクトのある頻度でのメッセージという意味ではやはりテレビが王者でしょう。一方、グローバルではどんな種類のものであっても、バーチャル3Dやウェブ3.0プロジェクトはまずはDiscord、そしてTwitterが活用すべきプラットフォームです。日本ではLINEを除いて、SNSプラットフォームとして人気が高いのはTwitterですが、だからと言って、日本においてメタバースがポジティブに受容されている理由がTwitterだとは思っていません。日本のユーザーは匿名性を好む傾向が比較的強く、そういった意味でTwitterがよりユーザーの需要に合ったサービスだということだと思います。ウェブ3.0ではユーザーはアバターとして活動出来るので、ウェブ3.0における匿名性を興味深く見ています。

スヴェン:メタバースを実際に体験した人に関するデータに興味深いデータが見られました。95%の人がメタバースを経験したことがないと答えています。これをどの様にみていますか?

Q. Are you in the Metaverse? (only for those who are aware of the Metaverse)
 「メタバース」にいますか?(メタバースについて知っている方のみ)

 


The available sample is too small to be considered unbiased. The displayed data is used only for representation purposes.

クリス:これは、結局メタバースをどう定義するかという事に立ち戻りますが、これは賭けても良いのですが、昨年1年の間に、ほぼ全ての人がなんらかの形でメタバースを体験していると思っています。オンラインのゲーム、オンラインの業務用ツール、あるいはスマホのゲームかもしれません。それぞれが「メタバース」をどう定義しているかによります。そもそも、業界が「メタバース」を定義していないので、いわゆる典型的なiStockの写真素材などにありがちな「VRゴーグルを着用している人が空間の中のアイテムを触っている」みたいな、そういう定義をされているのかも知れません。
そして、Z世代と比較してミレニアル世代の数値がこんなに低いことに驚きました。私は同程度だろうと予想していました。その理由は2つあります。まず第一に、ミレニアル世代はゲーム機器と共に成長した世代で、日常生活でデジタル機器を活用し、その利便性を実感してきた世代です。そして、今私達がメタバース体験としてイメージしているもの、特にVRやウェブ3.0コミュニティなどは高価だという点です。ブロックチェーン上で記録される取引であるオンチェーン体験の一部は高価です。そしてミレニアル世代は多少お金がありますが、Z世代の方は同程度の可処分所得がありません。

スヴェン:最近VR中心のゲームセンターが次々と出現しているのを目撃しています。数年前、歌舞伎町でVR体験センターが結構話題になりました。もう少し直近の話だと東京タワーに「RED°」という新しいVRゲームセンターが出来ています。こういった場所がZ世代に人気になるだろうと想像できます。

スヴェン:データからは、身体的な健康などの観点からメタバースを試してみることにかなり障壁があるとも見られました。この結果についてはどう思われますか?

Q. What do you fear about the Metaverse?
 「メタバース」について、何を恐れていますか?

 

ライナス:これは「メタバースとは何か」という問いの混乱をさらに強調するものでしょうね。メタバースが人の健康に悪影響をもたらすというのは、クリスがさっき説明した典型的なイメージ、つまりiStockの写真素材などにありがちな「VRゴーグルを着用している人が空間の中のアイテムを触っている」人のイメージから来ていると思います。メタバースはVR空間の中にあって、ユーザーはヘッドセットを着用して椅子にずっと座り、顔面から5mmしか離れていない画面をジーっと見つめていないと使えないもの、みたいな。

クリス:これは私からすると「歴史は繰り返す」の典型と言えます。プレイステーションや任天堂のゲーム、X BOXなどが人気になり、どの家庭でも子供がゲームに夢中になっていた頃、ゲームは悪影響を及ぼす可能性があるというような健康上あるいは心理上の問題が挙げられていました。でももしそのアンケートを今実施したら逆の結果になると思います。フィットネス、運動系コンテンツもは必ずしも身体的な健康に悪いというわけでもないでしょう。Wiiはもちろん、MetaにもVRヘッドセットを活用した多くのフィットネス系のコンテンツがあります。

ライナス:実際、私が最近している運動というのは全てVR上です。ジムに通うための20分を節約出来るんです!

スヴェン:今後、何がメタバースの使用を促進すると思いますか?

クリス:私は「メタバース」という表現は、今後1年から5年の間に失くなると考えています。何故かというと、私たちはもはや「インターネットを使う」とは言いません。メタバースは、現在私たちが認識しているデジタル体験のある一つのバージョンにしか過ぎないものになるでしょう。言葉として新しいため現在は非常に多くの混乱が見られますが、時間が経過するにつれて、おそらく他の用語同様に古いネット用語として片付けられると思っています。

ライナス:同感です。ある一時期日本では「DX」、つまり「デジタルトランスフォメーション」という表現に熱を挙げていましたが、今では時々タクシー広告などでは見かけるものの、ほぼこの表現を見かけることは無くなりました。表現として不必要になったからでしょう。「メタバース」も似たような運命にあるのではないかと思います。あまりに多用され過ぎて、表現としての意味が全く失われてしまうと思います。

スヴェン:言葉として、これは既存のシステムの進化なのだという概念をより良く捉えているので、私はどちらかというと「ウェブ3.0」という表現の方がしっくりきます。「メタバース」だと、何か自分たちがサイボーグとなってデジタル空間にプラグインされていて、デジタルのアバターとしてしか存在しないというような誤ったイメージを想起させがちです。マーク・ザッカーバーグ氏がフェイスブックという社名を「メタ」に改名したことは、この「メタバース」という言葉の終焉を告げる行為という印象を受けました。今となっては、この言葉がつけられた一つの会社を連想させるものに過ぎず、デジタルで繋がる世界の未来を構築する幅広い努力を代表する言葉ではなくなってしまいました。

クリス:これ以上ないくらいに同感です。Spatialさんのようにこの分野で最も存在感のあるプレイヤーは、そもそもこの言葉を使われていません。「メタバース」を構築しているのではなく、「没入感のある体験」や「企業や顧客のためのバーチャル体験」を構築されているということですね。

ライナス:私達はまさに今言われたその理由で、最近のElisa Insua氏の展示会で「メタバース」という言葉を避けました。テクノロジーは現実を置き換えているわけではなく、現実を拡張しているのだ、という捉え方が私たちにとっては大事だったからです。

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参加者:
Chris Hilton ジオメトリー・オグルヴィ・ジャパン合同会社 ヘッドオブストラテジー、エクスペリエンス
Linus Lim  Strata 社 クリエイティブ・ディレクター
Sven Palys  ゆず兄弟株式会社 共同CEO

このインタビューは、ゆず兄弟株式会社とLINE社が行った日本におけるメタバースに関する調査を受けて実施されました。レポート全体についてご興味のある方はこちらにご連絡ください:hello@yuzukyodai.com



Metaverse – after the hype, adoption happens

Just a couple of months ago, the Metaverse was all the rage. Companies across the world started experimenting with building digital worlds, and some commentators even touted that all business need a metaverse strategy to survive in the future. In retrospect, this enthusiasm appears overzealous, as the world has shifted to a new buzzword – AI. However, while the word ‘Metaverse’ might not be trending anymore, the central ideas behind it play a pivotal role in a future where augmented reality is becoming second nature. Be it in the way we shop online, travel around a city, or work with colleagues far away, the Metaverse is shaping our lives, it might just simply not be called it.

In an ongoing pursuit to study how human culture is changing, Yuzu Kyodai (a semiotic & cultural intelligence agency) conducted a quantitative research study together with LINE Research into the Japanese public perception of the Metaverse at the end of 2022.

Reflecting on the findings, Sven Palys, CO-CEO of Yuzu Kyodai sat down with Chris Hilton, Head of Strategy, Experience of Geometry Ogilvy Japan GK and Linus Lim, Creative Director at Strata (a creative technology studio) to discuss what the metaverse is and how it will shape our experiences.

Sven: Can you tell us a bit about your background and current role in the industry?

Chris: I am currently based in Hong Kong and serve as the Head of Strategy, Experience of Geometry Ogilvy Japan GK. I focus on and explore the relationship between brands and consumers. Currently, I am also overseeing Reality, Ogilvy's studio lab for everything web 3.0, metaverse, AR, VR, extended experiences, and new emerging technology.

Linus: I am the Creative Director at Strata, where we help artists bring their traditional artwork into the digital space and bridge into metaverse experiences. We are currently holding an exhibit with Elisa Insua in Ginza as well as online on Spatial showcasing some of her AR works. We are also fundraising for a new product that will bridge physical and digital assets, and I am leading a new NFT project that involves some anime characters where I am looking forward to getting the community engaged to create a new franchise with a group of new interested parties.

Sven: One question that is always on the top of my mind is trying to define what the metaverse is. What would you say is the definition of the metaverse and how do you feel about its adoption in supplementing our traditional lives?

Linus: I see the metaverse in its broadest definition as the data pipelines that connect all of us. It's a way for us to exist not just as our physical selves, but also as a digital version of ourselves in which we can interact with other people through the digital layer, with tools like Zoom and Teams as examples of this digital interaction. The word has gained more interest because the tools we have now are better than ever before, and as we move towards higher quality and higher definition 3D technology, it will become more tangible and understandable to a larger audience.

Chris: The word “metaverse” has been interpreted in many different ways in the last two years. I always go back to the original definition of it, which is a 3D environment whereby you can run social interactions. We’ve had this for decades – Second Life has been around for 20 odd years, and everyone has probably played Fortnite, Minecraft, Roblox, Call of Duty, or any online avatar game. The reason why it has a lot of hype now is because technology is getting better and more immersive, and the experiences being created are more interesting than ever before. However, the metaverse is not a replacement; it's an enhancement on current experiences that bridge the physical reality and digital reality together.

Sven: What applications of the metaverse are you currently seeing that you find very interesting?

Chris: I think a big thing for me is the B2B space. The metaverse is useful in B2B elements such as manufacturing and prototyping. Real estate is another area where 3D rendering can be used for virtual walkthroughs internally, not just externally for customers. You can design a space as well as sign off on what the builders are currently doing for a store in Paris without flying there. The iterations and the real time to get possibly the best immersive experience without being there physically is super powerful, and you can take it to the next level by standing in the store using a VR headset rather than walking though it on a screen.

To think that all of this would have cost a fortune just a couple of years ago and now many of these solutions out there are almost free. I think we’re at the tip of the iceberg of utility of 3D rendering and virtual environments.

Linus: The compression of space is indeed the biggest advantage of the digital layer and it brings a lot of benefits to many different industries. It's always better to see something in person, but taking something into the digital realm can be a game changer across all industries.

To add on, the technology is also changing how we work. Just yesterday I had a conversation with a working mother and she mentioned, “It’s so great that while I have to do my full-time job in the day, I really love experimenting with these technologies so at night after I put my kids to sleep, I put on my VR headset and I started designing event spaces. And I actually get paid for them!” She’s now able to not only do whatever she does in the day, but also do other work at night out of interest and get paid for it. This can be done for a company that’s in a completely different country in a different time zone, and all of that is going to unlock so much talent and people who are excited to work in the new space.

Sven: Building on that, I am also interested in the diversity, equity, and inclusion (DEI) perspective of the metaverse. I believe that the technology could level the playing field for people who have been held back in one way or another, since in a digital space, for example, one's gender doesn't matter. However, I also acknowledge that there may be new forms of discrimination that could arise, such as not being technologically savvy enough. I find it endearing that there are genuine efforts to change the male-domination in the digital space, and that people from diverse backgrounds can bring value to the space without being discriminated against based on gender, ethnicity, or sexuality. However, I also acknowledge that this could be wishful thinking and that reality may differ.

Sven: Looking at the research we conducted, we found that already 65% of respondents have heard of the metaverse even though it’s such a new concept. The results are comparable across genders and ages. Traditional media was key in this dissemination. What is your take on Japanese media in the role of teaching the public about the Metaverse?

Linus: Japanese TV has done a reasonable job in describing the metaverse, and the government is positive and encouraging of innovation in this space. Overall, the sentiment towards the metaverse and related technologies in Japan is positive and has been touted as a potential route to give the Japanese economy a new growth impulse.

Chris: From an awareness perspective, TV is usually the biggest ways to reach the most people in Asia, and Japan is no exception. Sure, we know that platforms like Twitter play a big role for news consumption, but TV reigns supreme when it comes to reach and frequency with impact. I wouldn’t be surprised if Twitter, or even LINE, is far more important when it comes to specialist information. Twitter globally behind Discord is the platform to launch any type of virtual 3D, Web 3.0 project.

While Twitter is the number one social platform outside of LINE in Japan, I don’t think it is because of Twitter that Japan is more receptive of the metaverse. I would rather say that Japanese users have a higher tendency to value anonymity, which Twitter provides better than other platforms, and anonymity is an interesting idea in Web 3.0 where you can be simply an avatar.

Sven: The data showed some interesting numbers on who has experienced the Metaverse. What is your takeaway from that?


Chris: I think it comes down to the definition. I can safely bet that almost everyone has possibly been in a metaverse experience in the last year without knowing it in the form of online games, online work tools, and mobile games. However, their personal definition of the metaverse, which might be what I call the cliché iStock photo of ‘a guy wearing VR goggles and he’s touching stuff in space’ – that may be their definition since the industry hasn’t done a good job defining what it is.


I was also surprised to see the numbers to be that low for Millennials compared to Gen Z. I was expecting them to be on par. The reason I say that is because: a) Millennials have grown up with gaming devices, that cross age gap of moving into real, true digital utility and usability in day-to-day life; and b) when you look at what people perceive as metaverse experiences today, especially around VR and the Web 3.0 communities, Millennials have money and some on chain experiences are expensive. Gen Zs’ don’t have the same disposable income.

Sven: I have seen an increasing number of VR focused game centres popping up. There was a pretty high-profile VR experience centre in Kabukicho a couple of years ago and more recently, Tokyo Tower has a new VR game centre called RED°. I can see these places being very popular with Gen Zs.

Sven: The data showed that there are considerable barriers to trying the metaverse for reasons such as physical fitness. How do you feel about those findings?

 

Linus: I think this further highlights the confusion around what the metaverse is. To say that the metaverse is bad for your physical health is tied to most people imagining the iStock photo guy that Chris described – that the metaverse must happen in VR, has to be you wearing a headset being bound to your chair and staring at a screen that’s five millimetres away from your eyes.

Chris: This to me is a clear case of “history repeating itself.” When you had the rise of PlayStation, Nintendo, Xbox, and every single kid was glued to their gaming consoles and you asked a similar question, you got the same health and mental barriers of why it’s potentially bad. If you took that same survey now, what you would find is that it’s flipped. It’s not necessarily bad for fitness, because we see that most games have fitness: Wii, and even Meta with their VR headset runs a lot of fitness stuff.

Linus: In fact, nowadays the only exercise I get is actually through VR. It cuts the 20 minutes it takes to get to the gym!

Sven: What do you think will drive metaverse adoption going forward?

Chris: I think the term “metaverse” will disappear in the next around one to five years, and the reason I say that is, we don’t say we “go on the Internet” anymore. The metaverse is merely going to be another iteration of a digital experience that we know today, so we’re still very early adoption on the term and there is mass confusion, but I think what you’ll find over time is that the term will be shelved as an old internet term.

Linus: I agree with Chris. Japan for a time was obsessed with the expression “DX,” i.e. digital transformation, and while you still see it from time to time on taxi ads, it has basically disappeared as it became a redundant expression. Metaverse is heading for a similar fate, where it is used so much that it loses all its meaning.

Sven: I feel more comfortable with Web 3.0 because it better captures the notion that this is an evolution of existing systems. Metaverse conjures up the wrong image of us being cyborgs plugged in and that we only exist as digital avatars. Mark Zuckerberg’s renaming of Facebook felt like the final nail in the coffin of the term. Now the word is linked to a single company and no longer represents a broad effort to build the future of a digitally connected world.


Chris: Couldn’t agree more. If you speak to the biggest players in the space, like Spatial, they don’t use the word. They don’t build “metaverses,” they build “immersive experiences” and “virtual experiences for businesses and customers.”


Linus: We were keen to avoid the word metaverse in our last art exhibition with Elisa Insua for exactly these reasons. It was important for us capture the idea that technology is extending reality rather than replacing it.
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Participants:
Chris Hilton, Head of Strategy, Experience of Geometry Ogilvy Japan GK
Linus Lin, Creative Director, Strata
Sven Palys, Co-CEO, Yuzu Kyodai

This interview was conducted in response to Yuzu Kyodai and LINE’s research into the Metaverse in Japan. For full report, please get in touch with us. hello@yuzukyodai.com

 

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