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ESG発信ケーススタディ

主軸事業で物流業界の課題を解決 メディアのニュース価値意識した発信

アセンド

ESGの潮流において、主軸事業で社会課題を解決することが求められる中、「自社が社会課題の解決に貢献できる」と対外的に伝えることも重要となる。企業価値の向上につながるコミュニケーションの好事例を見てみよう。

今や人々の生活に欠かせない運送事業者。しかし長時間労働がはびこるなど、業者は長らく不合理な状況に置かれてきた。こうした状況を打破すべく、業務効率化と経営DXを同時に実現することで業界課題の解決を目指しているのがアセンドだ。トラック運送事業の業務・経営改善を図るクラウドサービス「ロジックス」を開発・提供するプロダクト(SaaS)事業と、物流業界の抱える課題解決を目的としたコンサルティング事業を手がけている。

社長の熱意を紐解いて伝える

「物流DXを推進し物流業界の価値を最大化する。」をミッションに掲げるアセンドは、2020年3月、代表取締役社長の日下瑞貴氏が創業した。背景には、日下社長が前職のシンクタンク時代、物流の国策に政策提言を行っていた際に直面した業界への問題意識があった。「国策議論の場に、現場のトラック運送業者の声が反映されていない」、その現状に対しDXによって草の根レベルから変革を起こそうという思いが、事業の原動力になっている。

「メディア露出においては、こうした事業への思いを社長の日下自身が語ることが非常に重要だと実感しています」と同社の広報マネージャー上原里菜氏は振り返る。ミッションが社会課題の解決に直結する同社にとって、創業背景からの経緯を「社長が自ら伝えること」で社会への説得力が高まり、メディアにも取り上げられやすいのだ。

しかし、2020年の創業当初は「背景にある社会課題そのものや、事業でどのように解決するのかといった経緯を伝えることに苦労しました」と、上原氏。実際、業界紙の記者にさえ内実を理解されなかったことから、記者へ説明する機会があってもメディア掲載につながらないケースも多かった。そこで、広報部主導のもと、日下社長の熱意を分かりやすい言葉に言い換えて伝える工夫を重ねた結果、メディア露出は各段に増加したという。

「業界に長くいると、専門用語を多用しがちですが、一般的に馴染みがない言葉も多くあります。例えば『積載率が低い』という言葉も『ガラガラのトラックが走っていたらもったいない』と表現にすることで、一般紙の記者にも伝わります。そこで日下社長がメディアに対応する際、専門用語を使った場合は後から補足するようお願いしたり、専門用語やビジネス用語の言い換えリストを作成して渡したりするようにしています」(上原氏)。

アセンドのミッション。自社のビジネスを推進することで、社会課題の解決に貢献できることを、社会に向け広く伝えている。

出典:アセンド

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