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販促会議 企画コンペティション

「販促コンペ」受賞作「この寝心地は、事件だ。」が実現

尾澤恭子氏(Koala Sleep Japan)

マーケティング上の効果を見込める斬新なアイデアを審査・表彰する「販促コンペ」。選考基準として重要視されているのが「実現する可能性が高い企画であること」だ。これまでも複数の優れた企画が実際のプロモーション施策として世に出ている。昨年、Koala Sleep Japanの協賛企業賞に輝いた企画「この寝心地は、事件だ。」もその一つだ。





第14回販促コンペでKoala Sleep Japanが出した課題は「誰もがコアラマットレスで寝てみたくなるアイデア」だった。一見シンプルに思える内容だが、同社マーケティングディレクターの尾澤恭子氏は課題意図を次のように語る。「マットレスの特性として、実際に寝てみるまで寝心地のイメージがわきにくいことがあります。そこで、お客さまに寝てもらわなくても、商品の特徴や感動を伝えられるアイデアを探していました」。

オーストラリア発のベンチャー企業であるKoala Sleepといえば、これまでもiPhoneで撮影した動画(『コアラマットレス』の上にワインの入ったグラスを載せ、マットレスの上で創業者の2人が飛び跳ねてもグラスはピクリとも動かないというもの)がSNSで爆発的にヒットするなど、ユニークなクリエイティブが注目されてきた。日本支社のKoala Sleep Japanでも、自分たちでユニークなアイデアを出し、インハウスで迅速にコンテンツにして世に出すことを心がけているという。

一方でインハウスでのアイデア出しやコンテンツ制作に課題も感じていたという。「おもしろいアイデアは出てくるが、それが実際に売上にどう影響を与えるのかまでを考えられていませんでした」(尾澤氏)。そこで、「本当に人が動くかどうか」のリアリティを審査基準としている販促コンペで企画の実現を前提にアイデアを募り、社内での「売るためのアイデア」に対する意識変革を促す目的もあったという。

ユーモアあふれるアイデアがブランド個性にマッチ

今回、協賛企業賞を受賞した「この寝心地は、事件だ。」は、コアラマットレスの最大の魅力を「事件級の寝心地のよさ」と表現。誰もが無視できないインパクトを与えるために「思わず目を引く×寝心地が伝わる×寝てみたくなる」といった点をビジュアルで訴求するものだった。「食べ物を表現する際に口にしていないのに『おいしそう』と思えるようなアイデアがあるように、今回の『事件』というキーワードはまさに体験していないのに寝心地の良さが伝えられる表現だと感じました」(尾澤氏)。

実際のプロモーション施策では、「この寝心地は、事件だ。」をキャンペーンコンセプトにイベントやサイネージジャック、割引キャンペーンなどを実施。東京・渋谷駅構内には新生活を迎える若年層をターゲットにイベントスペースを設置。会場では鑑識官に扮したスタッフが「朝の目覚めが悪く、すぐにベッドや布団から出られない」など5つの質問をもとに現在の睡眠レベルの問診を行い、その後、「New コアラマットレス」の寝心地を最大5分間体験。

マットレス上で「事件現場」のようなロープなどの小道具を使った記念撮影ができる()。

図 渋谷駅構内で行われたイベントやサイネージジャック。

通りがかった人がビジュアルやキーワードに思わず足を止めることもあり、Twitter上でも話題を呼び、消費者との接触機会も増加した。「これまでもコンセプトを立てた施策は行ってきましたが、WebサイトのLPやSNSなどコンテンツごとに足並みが揃わないという課題がありました。今回の企画は『事件』というキーワードを元にストーリーをつないだ戦略を立てることができたと感じます」(尾澤氏)。

なぜ実現していないのか 企業が抱える課題の本質とは

Koala Sleep Japanの課題には数百ものアイデアが寄せられた。集まった企画の傾向は ❶電車や空港など「どこでも寝られるようにするアイデア」 ❷睡眠不足の現代人のための「睡眠で充電をうながすアイデア」 ❸親から子どもへなど「誰かの眠りを気にかけるアイデア」と大きく分けて3つだったという。これらの中には以前にKoala Sleep Japan社内で既出のアイデアも。

「私たちが求めていたのは、目の前にマットレスがなくても『思わず』気になってしまうような心理変容を起こすアイデアでした。協賛企業賞をはじめ目に留まった企画の多くは、こうした課題を解決してくれるものだったと思います」(尾澤氏)。

生活者の価値観が大きく変わり、変化を捉えた新しい施策を生むためには、課題の本質をとらえたニュートラルな発想が必要なのではないだろうか。



Koala Sleep Japan
マーケティングディレクター
尾澤恭子氏




    販促コンペ公式サイト(https://hansoku.co/history)では、「この寝心地は、事件だ。」をはじめ過去の受賞作品をご覧いただけます。

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