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通信と放送が融合する時代のテレビCM活用

ミツカンが目指すCMと連動した統合型マーケティング

石田憲司氏(Mizkan)

長年、広告予算の多くをテレビCMに出稿してきたMizkanでは、より効率のよい予算配分を目指し、2年前から新たな評価指標を導入している。テレビ領域における同社の注力ポイントと今後の方針について、マーケティング本部コミュニケーション戦略部の石田憲司氏に聞いた。

ロングセラーブランドを多数持つ ミツカンのテレビCM出稿の目的

広告媒体の多様化はもちろんのこと、ここ数年でテレビCMの効果を表現する様々な指標が誕生している。これらの変化により、予算配分から出稿枠の選択、効果測定まで、広告主には多くの判断が求められるようになっている。

Mizkan(以下、ミツカン)では従来、広告予算の多くをテレビCMに投下してきた。同社のコミュニケーション戦略の全体統制を行っているコミュニケーション戦略部で部長を務める石田憲司氏は、「当社の主力商品群である調味料は、50代以上の方の購入が多く、テレビの影響が強い年代であるため、テレビCMへの出稿に力を入れてきました。テレビCMに求める役割は、ブランドや商品によって異なります」と話す。

同社商品の中でも認知度が高く、生活者の購入経験率も高い「味ぽん」では、ブランド価値や世界観を伝えるクリエイティブによって、ブランド好感度の醸成やファンの創出を目的とすることも多い。

それに対して「カンタン酢」は、同社の“食酢カテゴリ”の商品の中で、現在一番の売上を誇るものの、「味ぽん」と比較すると購入経験がある人はまだ少ない。そのため、テレビCMは購入のフックとなることを目的とするケースが多い。このように同社では、ブランドのフェーズに応じて目的を変化させている。

視聴態度の変化に伴う認知下落 「注視率」と「指名検索」に着目

ミツカンでは長年、CMの効果を図るために、放映後、生活者にアンケート調査を実施してきたが、ここ2~3年、以前と比較し「CM認知度」が上がりづらい状況が続いていた。また、昨今の原料高騰やコロナ禍での“調理疲れ”による自炊率の低下により、調味料業界は厳しい状態が続いている。これまで以上に限られた予算の中で、いかに効率的に広告出稿を行うかが重要な命題となってきた。

そこで同社では現在、より最適なCM出稿を行うため、「注視率」と「指名検索スコア」という2つの評価指標を導入している。

「テレビをつけていても、意識は手元のスマートフォンに集中しているなど、生活者の視聴態度は以前とは変わっています。現在は...

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