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ゲーム好きプランナーが語る!商材理解で企画のレベルアップ

「商材理解」を極め、プロモーションだけにとどまらない提案を

杉浦 充(ADKマーケティング・ソリューションズ)

企画には事前準備が必須です。ゲームやキャラクター関連商材を長年担当してきた私にとって、最も重要な準備は「商材理解」です。今回は「商材理解」を極めた後にできうる貢献やその可能性について、自身の経験談も含めて書いていきます。

Level3
広告の先まで考える

前回までのコラムでは、商材理解の重要性と具体的な企画ステップについて書きました。そして、最終回となる今回は、商材理解を極めた先でできうるクライアントへの貢献やその可能性について、自身の経験も含めて書いていきます。事業会社/広告会社で企画に携わる方も、販促コンペの参加を検討している方も、企画の合間にでもご覧いただけたら幸いです。

▶︎広告会社の役割

マーケティングの「4P」(Product、Price、Place、Promotion)の中で、広告会社が得意としているのはPromotionの部分です。もちろん昨今の広告業界全体の動きとして、得意とするアイデアの力でProduct(商品開発)やクライアントのビジネス全体を一緒に育てていくような動きもあります。「営業」という名称が「ビジネスプロデューサー」という名称に変わってきていることもその1つだと思います。しかし、まだまだ広告会社に依頼されることとしてはPromotionの部分のみが多いように感じます。

そんな中で、商材理解を極めた先にこそ、クライアントのビジネス全体への貢献ができるのではないかと思うようになりました。コアなユーザーとして毎日のようにその商材に触れていると、「こうなればもっと良くなるかも」と日々の生活の中で課題に気付く機会が増えます。もちろんそれはPromotionの話にとどまることはなく、全領域での課題にまで至ります。

▶︎プロモーションにとどまらない提案

あくまでも一例ですが、自身の経験に沿ってお話しします。『実況パワフルプロ野球』というモバイルゲームのプロモーション企画を担当させてもらっているのですが、過去の記事で書いた通り、とにかくゲームをやり込んでから企画するようにしています。ある時、オリエン内容としてはいわゆる広告・プロモーションの領域でしたが、自身の判断で「ゲーム内イベント」の追加提案をさせてもらったことがありました。

「ゲーム内イベント」というのは、ゲームの中にどういう体験をつくるかというもので、前述の4Pで言えばPromotionではなく、Productの一部に該当するものです。「目的達成のためには、広告のみならず、その先にこういったゲーム内イベントがあるべき」という形で、通常であれば踏み込むことのないゲーム開発の領域にまで提案しました(開発スケジュールなどの都合もあるため全てのケースで上手くいくわけではないかと思いますが)。

結果的にその提案への反応はポジティブなものであり、さらに施策実施後の実数値も良好であったため、クライアントからお褒めの言葉をもらえたことは今でも鮮明に覚えています。

言わずもがな、そこまで踏み込んだ提案ができたのは自分がコアなユーザーだからこそです。広告はもちろんのこと、実際にそのイベントが実装されたゲーム画面を見た時には思わず震えましたし、クライアントのビジネスへの貢献という意味でも非常にやりがいのあるものでした。このように商材理解を徹底すると、広告・プロモーションだけではなく、その先のアイデアにも繋がりうることを実感しました。

筆者が愛してやまないモバイルゲーム『実況パワフルプロ野球』。自身がコアなユーザーだからこそ、広告・プロモーションの先のゲーム内イベントの提案までチャレンジさせてもらうことも。新しい提案を模索するべく、今日もゲームをプレイ中です。

▶︎目線を合わせること

この連載のテーマは商材理解ですが、その真の価値は「目線を合わせること」にあります。その商材・ビジネスのことを日々本気で考えるクライアントと目線が合えば、あらゆる提案が受け入れられやすくなりますし、日々触れているユーザーと目線が合えば、本質的な強み(USP)や課題の認識違いが起きることもないのだろうと日々痛感しています。企画提案を行うための最低限のステップ、それが商材理解です。

前述のように多少オリエン内容から離れた提案だとしても、自分がその商材を好きだからこそ貢献したい⋯という強い想いがあふれる提案は、きっと聞き手の心に響くものだと思います。冒頭でも書いた通り、広告会社が得意とするアイデアの力でクライアントのビジネス全般に貢献していこうという動きがありますが、そこで必要なものは、アイデアの力だけではなく、クライアントやユーザーと目線を合わせようと努力する姿勢です。

商材理解で戦える

結果的にすごく“普通”の話になってしまいました。でも、その“普通”を徹底することは大変で、それゆえに本気でやってくる人が少ないのも事実です。私は10年以上広告会社にいますが、特にゲームのような理解に時間がかかる商材にこそチャンスがあると思っています。経験や実績のない若手(当時)の私にとって、商材理解というのは最もコストパフォーマンスの良い事前準備であり、数多の先輩プランナーが存在する中で自身の価値を出せる方法でもありました。そして今では、その領域に特化したプランナーとしての力の源泉になっています。

目の前の企画業務や販促コンペなどに取り組む際、「何から始めたらいいのだろう」と思った時には、ぜひ商材理解から始めてみてください。その魅力を本質的に理解できたら、企画がスムーズになりますし、何より企画がさらに楽しくなりますよ。私も好きなゲームやキャラクター関連の海にもっと飛び込んでいきたいと思います!全3回の連載でしたが、自分が大事にすべきことを振り返る機会をいただけたことに感謝いたします。どうもありがとうございました!



ADKマーケティング・ソリューションズ プランニング・ディレクター
杉浦 充

2010年ADK入社。主にゲーム関連・キャラクター関連のプロモーション企画とそれに伴うメディアプランニングに従事。“ファン目線を持つ”という信条のもと、夜な夜なゲームプレイに勤しむ。

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