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EDITOR'S CHECK

小学館『小学館世界J 文学館』ほか、注目のデザインの裏側

BOOK
小学館『小学館世界J文学館』

  • 装丁/城所潤
  • 装画/福田利之

小学館は11月22日、『赤毛のアン』『あしながおじさん』といった世界の名作文学を収録した『小学館世界J文学館』を発売した。1冊で125作品が紹介されており、読者は気になる作品のページ端のQRコードを読み込むと、電子書籍として全文が読めるという仕組みだ。本書の装丁を手がけたのは、城所潤さん。「昔は“世界の名作全集”のようなものが、家庭や図書館にありました。ただ、数十冊を揃えるのは今の時代、なかなか難しい。しかし電子版なら、ということで、ほとんどの作品を新訳にし、小学館の100周年記念事業の一環で新たな形態として出版することになりました。これは画期的なことです」。

大人向け書籍と児童書との大きな違いは、“読者が必ずしも自分で本を選ぶとは限らない”ということ。子どもたちが本に触れるルートは図書館、プレゼントのほか、「課題図書だったから」というケースも。いずれも“選者”として、大人が介在していることが多く、子どもと選者のギャップや時代の流行をどこまで拾えるかが児童書のデザインのカギだという。

「この本は、『宝物』として大事に長く持っていてほしいという思いがありました。紙本の装画は福田利之さんにお願いし、宝箱のようにいろいろなお話を絵に組み込み、『これ何の話だろう?』と、子どもたちが興味を持つようにしてもらいました。全体のトーンはクラシカルにしつつも、今どきの児童書の雰囲気も出たバランスの良い装画になりました」(城所さん)。

ケースは半透明にし、タイトルを金と白で箔押し。フォントは明朝体の「光朝」を基に、細部に手を入れた。プレゼントにふさわしくノスタルジックで重厚な雰囲気を大事に、細かいディテールにこだわりつつも、全体の佇まいはシンプルに仕上げた。

125冊分の表紙を計4ページにわたって並べた、見返しのデザインにもこだわった。「約3カ月かけて、ひとりでほぼすべての電子版のカバーをデザインしました。それを見返しに本屋のイメージで並べてあり、目次の役割も果たしています。現代の子どもたちに読みやすくした、新訳と初訳の作品がほとんどなので、ぜひ手に取ってもらいたいです」(城所さん)。

LOGO
「クラシル」新ブランドロゴ

(dely)

  • 企画制作/dely「クラシル」デザインチーム+Takram+Kontrapunkt+Twoplatoon
  • 企画+D/坪田朋、鹿島理佳子、玉田春和、木村眞子
  • プロジェクトディレクション+STPL/藤吉賢
  • STPL/Emil Brunn
  • D(GR)/清水万里合
  • D(GR+タイポグラフィ)/Laurits Hanak
  • デザインアドバイザリー/山口幸太郎
  • UIコンセプト/長谷川昇平
  • 撮影/中西学、松本夢乃、宮根巧、橋詰高志
  • D(Web)/Takram
  • D(Web)+Web開発/FRAMELUNCH
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