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「謝罪・発表」までの行動シミュレーション

経営陣の不祥事が発覚!広報担当者の「危機管理」対応シミュレーション

佐々木政幸(アズソリューションズ)

SNSの浸透により情報の流通・拡散性が格段に高まったうえ、ダイバーシティの潮流もあり炎上が発生しやすい状況となった。昨今は、経営陣による不祥事も目立つ。今回は記者会見の開催を含めた広報担当者の対応をシミュレーションする。

クライシスが発生すると広報担当者は矢面に立たなければならない。

記者の詰問に耐え、すべての質問に誠意をもって対応し、分かりやすく答えきらなければならない。企業の印象は広報で決まる。広報が曖昧な回答しかできず、何を聞かれても「ちょっとお待ちください」「分かりません」「お答えできません」を連発していると「あそこはダメ」のレッテルを貼られてしまう。何事も「逃げずに」「すべて答え」「分からないことは分からない」「言えないことは言えない」と言い切る力をつけてほしい。

ただし「分からない」「言えない」理由をしっかりと説明することも忘れてはいけない。

社員へのフォローも必至

忘れてはいけないのは、社員への説明。翌朝の報道で初めて事実を知る、ということがないよう必ず記者会見後に各部長などを通じて全社員に周知すること。

クライシス対応は時間との勝負。発生から3時間以内に情報収集・集約を終えることが重要。過去のクライシス事例が証明するように、社員がマスメディアに不確実な噂を話してしまい、尾ひれがついてクライシスが拡大してしまうことも。社員への周知も初動対応の一環として捉えておくべきである。

ここでは、不祥事が発生後記者会見を開いて対応するまでのシミュレーションをしていこう。

不祥事発生後の対応スケジュール

クライシス発生!

❶初動対応(事態の発生・認識から3時間以内)

●対策本部の設置(30分以内に全員集合!)

●情報の収集・集約・整理(部門横断的に!)

●公表方法の検討

●コメントの準備

❷電話対応

❸公表時の資料作成(作成時間は30分)

❹記者会見の開催(発生から遅くとも12時間後まで)

●準備
記者会見開催の2~3時間前までに会見開催の案内をファクスまたはメールで送信

●記者会見時

❺記者会見後の事後対応

●直後

●半日後

❶初動対応

初動対応のフロー

①対策本部の設置

対策本部メンバーはどこにいても必ず出席させる(このご時世、リモートでもできるはず)。

②情報の収集・集約・整理

事実関係の迅速把握に努める。広報だけで立ち回れるはずはなく、この場合、発生部署と連携した役割分担を行うことが大切。また迅速な対応のため、平時から以下の役割分担を部門横断的に決めておくこと(忙しいからなどと、できない理由は一切受け付けないこと。半ば強制的に!会社の危機だという認識を強く持つ)。同時に、平時から対応チェックリスト、コメント、想定問答も作成しておく。

役割分担

情報収集班⋯発生した事象の内容、現状の情報をできる限り集める。「こんな情報はいらないだろう」などと個人の判断で取捨選択はしてはいけない(クライシス時ほど個人の判断は必要ない!)

情報集約班⋯収集した情報を時系列、場所で集約していく

情報整理班⋯分かりやすく言うと、「想定問答を作成」する

情報公開班⋯ホームページやマスメディアを通じて公表する。また地方機関の長は、その地域での対外対応の責任者として対応する

③公表方法の検討

資料(プレスリリース)の配布に留めるのか、それとも記者会見を開くべきかの検討をすぐに開始する。広報は常に最悪の事態を想定しておこう!

公表方法

概ね3パターン。事案の重大度合いに応じて❶~❸の順番で決定する。複数の被害者がいるのか、マスコミからの問い合わせが止まらず電話対応では限界がある場合か、社員が被疑者か、なども考慮に入れた上で検討する。

❶資料配布:広報担当者が記者クラブに資料を持参し、発表。しっかり情報共有しておくことが大切。

❷レクチャー付き資料配布:記者クラブにプレスリリースを配布し、内容に関するレクチャーを実施。現場担当の説明が必要な場合などに用いる。レクチャーは必ず、担当部長以上の責任ある立場の者が行う。

❸記者会見:記者クラブの会見室を借りるか、外部の施設などへ記者に足を運んでもらい会見を行う。記者クラブの会見室で行う場合は幹事社の了解が必要で、記者クラブ側の仕切りで行われる。外部施設、例えばホテルで行う場合は会見場入口で「名刺」をもらおう。名刺をもらった記者がどの席に着席したかも確認しよう。

④コメントの準備

必ず求められる。謝罪なのか、説明なのかをしっかり判断する。このため、平時からクライシスを予測し予め作成しておくこと。

    ナンバー2がすべてを仕切る

    トップ以外の副社長や危機管理担当取締役などが緊急対策本部のトップを務めるのがベター。経営トップが務めると、すべてを自分で決めたがり、対策本部のメンバーのまっとうな意見を受け付けず、判断ミスを招いてしまうケースもある。トップがキャパシティオーバーでパンクしてしまい、対応が滞る恐れが出てくる。発生した地域が本社以外の機関なら、発生した機関がすべてを仕切る意識を持つこと。

❷電話対応

電話対応時のチェックリスト

①企業名はもちろん広報担当者自身の名前を必ず、相手(記者)に告げる

企業名だけ告げて、自分の名前は言わない人がいる。記者は必ず名乗っているはず。

②何が起きて、何を答えなければならないかを、しっかりと理解して回答する。

この時、初動対応で作成した想定問答が心の支えになるが、回答文を棒読みしてはいけない。声に抑揚がなくなり記者に見透かされてしまう。想定問答通りに答えているようでは、あなたは広報ではない。回答文が、世の中に何を伝えようとしているのかを斟酌(しんしゃく)し、キーワードを見つけることだ。そして、キーワードだけ抜き出して、あなたの言葉で話すこと。

③分からないことは「分からない」と回答する。

「~だと思います」ほど危険な回答はない。臆測で回答しない。分からないことは回答する時間を決めて一旦電話を切る。ただし、約束した時間には必ず折り返すこと。また言えないことは、「言えない」とはっきり言う。ただし、その理由をしっかりと説明すること。

④「記者会見ですべて説明します」は絶対に言わない

電話対応と記者会見は別物ではない。誰が対応しようと、また電話だろうが記者会見だろうが全く同じ。記者会見で話せばいいだろうと思ったら大間違い。広報担当が行っている...

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