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BOVA2023 一次審査員からのアドバイス(ディレクター篇)



一次審査員[ディレクター]

TOKYO
ディレクター
大柿鈴子(おおがき・すずこ)

1992年千葉県出身。2017年~18年にTBWA\HAKUHODO出向。出向の経験を活かし、CM・MVの企画から演出までを手がけることも多い。グローバル案件やInstagramなど、グラフィカルでノンバーバルな表現を得意とする。2017年文化庁メディア芸術祭アート部門審査員推薦作品、BOVA一般公募部門協賛企業賞、リマーカブル・ディレクター・オブ・ザ・イヤー 黒田明賞 受賞。

面白がる自分と冷静な自分と2つの目線で制作を

Q1. 若手の頃に「成長につながった」と感じた経験を教えてください。

若者向けのオンライン動画の制作で、たくさんの人と、機材と、美術が関わった大規模な仕事がありました。撮影でいっぱいいっぱいで、必死になって撮り切ったものの、編集の時に冷静な目で画を観てみると、なんだか物足りない。撮影素材が単調で、自分が最初構想したコンテではもっと面白くなる予定だったのに、思ったような感動がない。それは、最後の編集のことまで考えて、冷静に撮影ができていなかったせいでした。面白いものをつくるには、「これは面白い!」と思っている自分に騙されずに、冷静なもう一人の自分がいないといけないのだと気付きました。

Q2. ご自身が演出をする上で意識しているポイントは。

自分が絶対にやりたいこと、今までやったことがないことに挑戦することです。だんだん仕事に慣れてくると、こなすこともできるようになってくるのですが、そうすると自分がどんどんつまらなくなってくるような気がして、どんな仕事でも1カットは、「これどうやって撮るんだろう……。全くわからないけどできたら絶対面白い!」ということを試すようにしています。現在は、ネットですぐ質の高い海外の映像を見ることができるし、「それっぽい」ものをつくることはできるけれど、参考動画の再現ではなくて、自分の映像が海外の誰かに参考にされるようなものをつくりたいと思っています。

Q3. 動画制作を進める応募者にメッセージをお願いします。

撮影半分、編集半分。撮影まででいっぱいいっぱいになってしまうことが多いですが、映像は編集ですごく変わります。ぜひ編集のことまで見越して、制作時間をとってほしいです。面白い!と思う自分と、それに騙されない自分を両方持って、ラストスパートがんばってください。



東北新社 OND°
ディレクター
小野田 玄(おのだ・げん)

ストーリーテリングを用いた構成を得意とし、広告だけでなく、幅広い映像づくりに携わる。国内外のCM他、Webムービーやドラマ関連、ドキュメンタリーの脚本・演出も手がける。

伝わる言葉を選び、人の声に耳を傾ける

Q1. 若手の頃に「成長につながった」と感じた経験を教えてください。

具体的な経験談は思い出せないほどですが、国内外のいろいろな仕事をしてきた中で、たくさんのスタッフやクリエイティブ、キャストの方々と出会ってきました。その出会い自体はもちろん、雑談やさりげない会話の中の言葉がなぜか心に刻まれていて成長に導いてくれていると感じます。本当にちょっとした一言なんですが、ふとした時に鮮明によみがえってくるんです。面白いのは思い出す時々で解釈が変わったり、初めてそうかと理解できたり、今まさに必要な言葉だなと思えることが多いんですよね。何かに煮詰まったり、迷ったり、切羽詰まったピンチの時なんかに助けられます。

Q2. ご自身が演出をする上で意識しているポイントは。

前述の「言葉」の話にもつながりますが、伝わる言葉を選ぶこと・人の言葉を聞くこと、を意識しています。広告に限らず、ドラマやドキュメンタリーの現場でもつくり方や役割によって使用する言語が違うんですが、みんなでより良いものをつくり上げようという思いは同じなんですよね。若い頃は、役割的にも自分で全部をどうにかしなければという思いやその過信によって、人の助言を受け入れず、強引な進め方や雑なコミュニケーションをしていたように思います。今思えば余裕がなかったんですね。

こだわること=頑固になることじゃないんだと、常に自身の気持ちを律しています。

Q3. 動画制作を進める応募者にメッセージをお願いします。

独りで考えたりつくったりする時間が多く、自身のこだわりを存分に発揮できる機会だと思います。一方で伝えるべきメッセージ(課題)のために客観的な視点も必要です。

焦ったり固執したりせず、周囲の言葉に耳を傾けてみてください。それが自身の想定範囲を超えるきっかけになるかもしれませんから。

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