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長寿企業の極意・周年イヤーの迎え方

小学館100周年、次の100年を見据えた『0周年』で未来へ種まき

小学館

社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。

2022年1月にオープンした100周年特設サイト。拡大を続ける自社の出版業務を7つのテーマに分け、新規事業などに取り組む社員へのインタビューで構成。

創立記念日の8月8日には、同社にとって初の企業紹介動画となる特別ムービーをYouTubeで公開。三木孝浩監督、俳優の小松菜奈、声優の山寺宏一、漫画家の浅野いにおなど、多くの才能が集結した動画は、Twitterでは公開から3日で17万を超えるインプレッションと2万6000回超の再生回数を記録。

小学館は2022年8月8日、創立100周年を迎えた。周年期間は2022年を中心に、2021年11月から2023年2月ごろまでと定め様々な企画を展開。

100周年を迎えられたことへの感謝に加え、同社の“これから”を表すコピーとして生まれたのが「0(ゼロ)から考えよう。」。この節目を次の100年を見据えた「0周年」と捉え、慣習や常識を取り払い、“0”から考えて新たな一歩を踏み出す成長起点と位置づけている。

「実は小学館には『0のマーチ』(作詞:谷川俊太郎、作曲:いずみたく)という社歌もあり、折に触れて“0から始めよう”という考えが語られてきました。創立100周年の今こそ、再びこの言葉を大事にしようという狙いもあります」と話すのは、100周年事業室長を務める社長室ゼネラルマネージャーの三浦和也氏。三浦氏は、2018年末から講談社など創立100周年前後の企業に取材し、周年事業についてリサーチを続けてきた。

社内の結束力増強につなげるべく全社員参加型を目指し、2019年には周年企画を全社募集。1年足らずで127もの企画が集まったという。それらの案をもとに、周年企画として多くの出版物刊行や映像制作に取り組んでいる。

今にふさわしい読書のカタチ

中でも子ども向け学習雑誌の出版社として出発した同社ならではの取り組みが、『小学館世界J文学館』だ。この1冊を購入すると、125の名作の本文すべてを電子書籍で読むことができる。紙の書籍では作品背景やキャラクター紹介、見どころなどを図鑑感覚で読むことができ、子どもたちにとっての名作ガイド的役割を果たす。

「図鑑のような構成には、学習雑誌や『図鑑NEO』シリーズが築いてきた歴史と知見が詰まっています。スマホやタブレットで作品紹介ページのQRコードを読み取れば、ダイレクトに電子書籍へアクセスできる仕組みです」と担当編集者の塚原伸郎氏は説明する。収録作品のラインナップも、永遠の名作から日本初上陸となる名作まで幅広い。

「こうした名作に...

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