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社会学の視点

ネコは愛の天使?それとも悪魔?

遠藤 薫氏(学習院大学)

見えないものが見えたとき走り出す物語

世の中には「運命の恋」というものがある(らしい)。世界的な「運命の恋」といえば『ロミオとジュリエット』だろうか?たまたま出会った瞬間に恋に落ちたふたりは、家同士の対立によって、悲劇へとひた走っていく。こういう「一目惚れ」現象は、周囲はもちろん、本人たちにもあまり理由が説明できない。

日本でも、『源氏物語』の柏木と女三の宮の恋が、時を超えて人の心を震わせてきた。

かいつまんでお話しすればこんな感じである。内大臣の息子である柏木は、ある日、光源氏の邸宅で行われた蹴鞠の催しに参加する。それを御簾越しに見ていたのが、光源氏の若い妻・女三の宮である。当時高貴な女性は人前に姿を現すことはなかった。ところが、女三の宮の愛猫が大きな猫に追われて突然走り出し、その引き綱が几帳の裾に絡まって、御簾があがってしまった。思いもかけず女三の宮をかいま見てしまったことで、恋が走り出す。

柏木は、猫を口実にして、秘かに女三の宮と会うようになり、女三の宮は懐妊する。柏木と女三の宮の関係は光源氏も知ることとなり、柏木は病の床に伏す。女三の宮は無事男児を産むが、出家してしまう。それを知った柏木は絶望し、命を失う。なんとも切なさの沼にはまる展開である。この悲恋の鍵を握るのが、愛らしい...

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