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消費者主導で広がる!SNSの広報戦略

3つのインサイトの深掘が共感を生むストーリーの発見に

高橋勇策、高橋拓己(ネオマーケティング)

企業本位の発信では、消費者が求める情報との間にギャップが生まれがちだ。消費者個人が拡散力を持つなかで、企業はいかにコミュニケーションし、ファンを増やしていけばいいのか。消費者の心理や欲求を理解するリサーチを起点にした、SNS投稿を考える。

Twitterをはじめ、SNSが隆盛を極める時代。企業は受け手と対等に、彼らの感じている課題や欲求に、より注視していく必要が出てきた。「現代の消費者は情報を得る手段が多岐にわたる。一方で、動画を倍速で視聴するなど、情報処理スピードを速めている。膨大な情報量が一気に消化されていく過程において、商品の誕生背景といったストーリー、物語性は、消費者の関心をつなぎとめるカギになる。商品の特徴といった情報だけでは差別化が難しい」とPRプランナー高橋拓己氏は説明する。

自己都合の発信には懐疑的

企業と消費者の距離を縮める「ストーリー」を発信する場として活用したいのが、双方向でコミュニケーションが行き交うSNSだ。なぜなら「企業から一方的に発信された、整えられ、きれいな情報をどこまで信用していいのかという懐疑的な視線が、消費者にはある」からだと同社ストラテジックプランナーの高橋勇策氏は指摘する。

「一方的で自己都合な発信のケースとして、ブランド側が『○○でナンバーワン(自社調べ)』などと発信することがありますが、日本マーケティング・リサーチ協会は、こうした恣意的な調査で誘導する発信は、業界全般の信頼度を下げると問題提起しています」。

コロナ禍以降には、「コロナに効く」といった、根拠に欠ける効能情報で信頼性を損なう事例も発生した。情報に対する選別やファクトチェックもあり、ブランド発信が信頼感を持って受け止められていないケースも散見されるという。そんな中で、ニーズが増えているのが、口コミを生む、消費者視点でのブランドのストーリーづくりだ。

カギはリアリティや人間性

「ナンバーワンであったり、どんなに良い効能を説明されたりすることよりも、実際に体験した人からの口コミや友人知人からの生の声の方が、信頼性があると思われているのです。根拠や理由づけがあいまいな情報は、納得されない時代になっています。一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツにおいても、自らの体験をつづったような投稿がエンゲージメントを高めていることが、分かっています」(高橋拓己氏)。

企業側からの宣伝は、長所に偏り、リアリティに乏しいと思われがちなのに対し、悩みや困りごとといった人間性を交えた情報発信は、消費者の共感を得やすい。

重要な3つのインサイト

現実味があって共感を得るストーリーが大切であることは前段に述べた通りだが、実際担当者はどのようにストーリーをつくればよいのか。そのヒントは、生活者の日々感じている課題感や欲求、社会の関心事・動向...

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