広告マーケティングの専門メディア

           

国語学の視点

外国語(風)の魅惑的な響き

金水 敏氏(大阪大学)

ビリヤニ・ブリック・シュクメルリ?「知らない音」が興味を引く

日本で流れているCMは当然、ほとんど日本語でつくられているが、時折耳慣れない外国語が聞こえてくることがある。外国語と言っても、英語ではありふれているので特に驚かないから、英語以外の外国語である。耳慣れないという時点で一定のインパクトがあるが、それだけではない、知らない外国語の響きは何か未知の世界への憧れを誘うものがあって、魅惑的なのである。

例えばベタな外国語の例として、2011年に流れた東京エレクトロンのCM「モンゴルの恋」篇が挙げられる。モンゴルの草原で、少女が青年に出会って恋に落ちるというドキュメンタリー映画風のつくりだが、広大な草原で遊牧民が携帯電話を使いこなしているという意外な風景とも相まって、モンゴル語の歌や台詞の響きが新鮮で耳に心地よい。

あと、よくあるのが料理の名前だ。外国語の、知らない料理の名前は、その料理の味への興味もかき立てられるので、わくわくするものがある。例えば敷島製パン「超熟フォカッチャ」のCMに登場する「シャクシュカ(風)」は、私には初耳の料理名だが、エキゾチックな響きが好奇心を誘う。

さらにサーモスのフライパンのCM「いろいろ作れる編」では「ラボ・デ・トロ」という料理が出てくるし、「世界の料理いろいろ!」編では「ビリヤニ」...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

国語学の視点 の記事一覧

外国語(風)の魅惑的な響き(この記事です)
意外なキャラが生み出す面白さ
ヴァーチャルな方言のCMたち
『今』を映す時代劇CM
日本語の関節をはずす「カップヌードル」のCM
ゴリラ、アルパカ、マレーグマ、イヌ…CMにみる動物のことば
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する