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経済学の視点

「区別バイアス」の罠

友野典男氏(明治大学 大学院)

違いを気にしすぎていないだろうか

大型のオーディオスピーカーを買いに行った。店頭にはたくさん商品が並んでいて目移りしたが、最終的に候補を2つに絞った。どちらも一長一短がある。ひとつはデザインが気に入った。自分のインテリアの好みにぴったりだ。もうひとつは、デザインは趣味ではないが、肝心の音質に関しては、もう片方より少しだけよい。

聞き比べた結果、音質のよい方を選んだ。スピーカーを買うのだから、たとえデザインは悪くても、少しでも音質がよい方を選ぶのは当然だと思った。ところが、自分の部屋においてみると、デザインが何とも違和感がある。他の家具とマッチしないのだ。音質は⋯特によいとも思わない。本当にこちらの音質がよかったのだろうか。まずい買い物をしたと思い、後悔でいっぱいだ。

年収550万だがちょっと退屈そうな仕事と、年収500万円だが面白そうな仕事、どちらがいいだろうか?この2つを比較すると、つい年収の差が気になってしまわないだろうか。年収だけ見ると明らかに550万の方がよいが、仕事の面白さの方はちょっと分かりにくい。そこで年収の多い方にとびついてしまいがちである。

実際に働いてみると、収入がちょっと少なくなっても面白い仕事の方がよいと思うことは多々ある。

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