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サステナビリティ情報の発信

丸井の事例から考える、これからの経営とガバナンスのかたち

北田皓嗣(法政大学)

環境経営にかかわる動向を解説しながら、企業の本業にサステナビリティを取り込み、コミュニケーションをしていくための考え方を整理します。

数年前に丸井グループ(以下、丸井)の代表取締役社長の青井浩氏が、「(社会貢献活動は)そもそもみんながやりたいこと」とおっしゃっていたことが、とても印象的でした。ちょうどその頃、社会課題や環境問題について話題にすると周りが少ししらけてしまうような雰囲気を感じていたので、こんな風に語れる会社のトップもいるのだなと元気付けられました。

そんな青井氏の人間観は、丸井の経営戦略に反映されています。丸井は2050年を見据えた長期ビジョンを策定する際に、それまで大切にしてきた5つのステークホルダー(株主・投資家、お客さま、社員、お取引先さま、地域・社会)に、「将来世代」を追加しました。そして6つのステークホルダーが求める価値を、利益と幸せの観点から整理しています。ステークホルダーが求めることと、自分たち(丸井やその構成員)がやりたいことやできること、稼げることが重なりあうところで丸井は価値創造を進めようとしています。

社会へのインパクトを重視

このような考え方を実現するために、丸井は業績目標指標とボードメンバー(取締役会構成員)を、ステークホルダーの視点から見直しました。2021年に発表した新しい中期経営計画に、ウェルビーイングとサステナビリティに関わる目標を織り込み、例えば「サーキュラーなライフスタイルの選択肢の提供」(お客さま数)といったインパクトを指標に設定しています。通常の企業の経営計画は...

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サステナビリティ活動への「社員の主体的な参加」促進するヒント
従業員のサステナビリティへの取り組み姿勢、どこで差が出るか
サステナビリティ・コミュニケーションが抱えうる潜在的なジレンマ
サステナビリティ情報開示の義務化へ向けて
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