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「脱炭素」×自社の『らしさ』を結び付けた事例

必要なのは企業のスタンスを示すこと、Z世代に響くサステナブル発信とは?

牧島夢加(博報堂 ミライの事業室)

Z世代で広がる「サステナブル疲れ」。当たり前にSDGsなどの教育を受けてきた層にとって、反発心や懐疑心を抱くという現象のことだ。目が肥えて、慎重に情報や商品を見ているZ世代が、好感を抱く企業の発信はどういうものか。筆者が実際に現役大学生にヒアリングした声をもとに、解説する。

Z世代は社会課題に対する意識が高いといわれています。サステナブルへの関心度は10代や20代が他年代に比べて高いと発表される調査結果もよく見受けられます(図1)

図1 SDGsの年代別認知度

出所/博報堂SDGsプロジェクト「生活者のサステナブル購買行動調査2021」

それもそのはず、彼らはサステナブルについて学校教育で学んできた世代です。SDGsをテーマにしたポスター展が開催されたり、大学でSDGsに関するレポートを作成する課題が出されたりもしています。

Z世代にとってはサステナブルが必修科目であり、基礎教養となっているのです。認知や関心が高いのは当然のことといえるでしょう。

当たり前だからこそ感じる「サステナブル疲れ」

そんなZ世代の中には、最近「サステナブル疲れ」を感じている人も少なくないといいます。

例えば、ペットボトルの飲み物を購入すると批判してくる知人がいるという大学生の話を聞きました。

彼女はその知人が購入したサステナブル商品の写真を頻繁にSNS上に投稿していることに対して、逆に、「本当に環境のために買っているの?キャラづくりに使ってない?と思う。サステナブル商品を使っている自分自身に酔っている感じが伝わってくる(20歳)」と反発心を抱いている様子でした。

また、就職活動でいうと、企業説明会で「SDGsセミナー」が開催されるケースもあるといいます。参加した就活生からは「就職に向けて、これまでの採用基準に加えてSDGs資質をもっているかどうかも問われているように感じている(22歳)」という声も聞かれました。

マーケティング目的で使われることへの嫌悪感

「サステナブル疲れ」と合わせて、最近急激に耳にすることが増えた「サステナブル」という言葉の使い方に違和感を覚え、ネガティブに感じているZ世代も少なくありません。

先に挙げたサステナブル商品を頻繁に購入する行動や、サステナブルであることを強調して購入を促すような商品広告は、実際にはサステナブルではない「SDGsウォッシュ」だと感じるというのです。

Z世代のメンバーとサステナブルをテーマに座談会を開催したところ、「買わないことが一番のサステナブルだから、サステナブルであることをアピールしている商品広告にもやもやする(21歳)」「サステナブル商品を様々な企業が真似して販売し始めると、環境のためではなくお金儲けのためなのでは?と思ってしまう(20歳)」という声が上がりました。

サステナブルに関心の高いZ世代の中には、その商品や企業が本当にサステナブルな行動を取っているのかを自身で問い合わせして調べるという人もいます。

例えばコスメの購入時。公式ホームページに載っていない情報もあるので、成分が本当に...

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