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失敗しないメーカーのサブスクモデル開発

価値ある体験を増やす、プロモーションとしての「レンタル」の可能性

三輪謙二朗氏(レンティオ)

音楽や映像・ソフトウェアといった「データ」に対し「モノ」を扱うメーカーにとって、その提供フローや価格設定においてサブスクリプションモデルの導入・継続は一筋縄ではいかない場合が多い。メーカーとユーザーをつなぐレンタル事業「Rentio」を提供するレンティオ代表の三輪謙二朗氏に話を聞いた。

「お試し利用」をサポート 利用者とメーカー双方にメリットを

レンタルサービス「Rentio」は、カメラのレンタル事業から始まり、現在は家電を中心に約2900種類のアイテムを取りそろえている。商品ごとに数日単位の短期レンタルと月額制での利用が可能。後者の場合は、月々数千円の利用料を支払い、一定期間を超えると、商品そのものをもらえる仕組み。気に入れば利用月数に応じた金額で、そのまま購入することもできるというシステムだ。

現在、多数の大手家電メーカーのアイテムが利用可能となっている「Rentio」。象印やヤーマンでは、直販サイトの購入ページに『レンタル』の項目があり、クリックすると直接レンティオのサイトに遷移するという仕組みになるなど、大手メーカーとの連携も進んでいる。

利用者のニーズは主に2パターンある。ひとつは、旅行や子どもの運動会の時にカメラを借りるなど、スポットで必要となる商品をレンタルで済ませたい場合。もうひとつが、高額家電を購入前に試すという使い方だ。

2015年の創業当初は、3泊4日や1週間といった短期利用が売上のメインだったという。品ぞろえの中心がカメラ関連であったことに加え、フォーマルドレスやベビー用品などの領域で、元々そうした利用形態が一般化していたことも背景にある。

一方で近年「お試し利用」が増えてきた理由として、三輪氏は次のように話す。

「昔は日常的に使う家電といえば冷蔵庫・テレビ・洗濯機などで、使い方もイメージが沸くし、機能的にもそこまで大差はなかったように思います。しかし最近、自動調理鍋や高機能の電子レンジなど、特に高価格帯の調理家電市場が一気に拡大しました。そういった商品は、実際に使ってみないとその便利さや自分の生活に本当に必要なものかどうかも分かりません。また、迷ってとりあえず低価格帯の商品を買ったけれど、使いづらくて結局高性能のものを買うことになるといった事例も多いのです」。

こうした流れのなかで2020年11月、従来の月額制レンタルに、さらに所有権が移転するサービスを付加した。

「私たちはこれを『新しい消費行動』と考えています。購入と、購入せずに我慢するという選択肢の間に新しい選択肢を...

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