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国語学の視点

UQUEENにみる、権力者語としての〈男言葉〉

金水 敏氏(大阪大学)

性差を超えて、世の中を変えるパワーを表現

10月号で「UQモバイル」の「だぞっ」について述べたところでまた取り上げるのもどうかと思うのだが、9月から始まった「UQUEEN」シリーズに、いい意味で正直やられたので、2回目の採用とさせていただく。

現代の日本のどこかにあるUQ殿では女王UQUEENが君臨し、UQに関する様々な取り決めを行っている。この女王のUQUEENを満島ひかりが、また執事兼ナレーションを松田龍平が演じている。CMの見所は、まずその衣装やメイクの豪華さ、本編(映画)を思わせる深い陰影をたたえた映像、そしてシンフォニックで荘重な音楽であり、総体としてとてもゴージャスな仕上がりだ。

内容的には、「かなり女王様気質」の女王様の独断専行や無茶振りと、それに振り回されながらも、心底では女王をリスペクトし、付き従う執事のやり取りが軽妙でユーモラスで、映像の重厚さに対していいコントラストをつくっている。何より、強権を振るう女王様の満島の笑顔がとてもチャーミングで、彼女の新しい魅力を発見させてもらった気がする。

さて、国語学的に注目したいのは、満島演じる女王の台詞のスタイルである。CM第3弾「馬」篇を例に取ろう。

(ナレ)「UQUEENは無茶振りが得意だ」(執事)「UQUEENさま、これは⋯⋯」(女王)「ん?馬だな」...

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