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経済学の視点

「合理的」な愚か者

飯田泰之氏(明治大学)

「合理的」をどうとらえる?コトバで牽引される人の行動

「○○さんは合理的な人だから」という表現が褒め言葉として使われることは多くはありません。合理的や合理性という言葉は打算的で薄情というイメージを伴います。そしてこの合理性を何よりも重視するのが経済学というところから⋯経済学もまた冷酷な学問と思われることも。

「合理的」はrationalの訳語。原語は「理性的な、正気の」といったニュアンスを含みます。むしろ経済学で登場する合理性も、矛盾がないこと、一貫していることを意味することが多い。なぜ日本に入ってrationalの一部の意味だけが強調されたのか歴史的な経緯はわかりませんが、人の行動は時にコトバによって牽引・誘導されます。

例えば⋯ビジネスにおいては合理的に行動すべきだ──これは正しいでしょう。ここで日本流の「合理性」という単語に引っ張られると、ビジネスにおいて打算的で冷酷であることが合理的であることだと考えてしまう。これは正しいかどうか、はなはだ疑問です。打算的で冷酷な行動はビジネス・日常の少なからぬ局面でむしろ利益を損なう結果に結びつくでしょう。合理的(打算的で冷酷)に行動することが合理的(理性的・論理的)ではないことがあるというわけ。コトバって難しい。

例えば...

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